東日本大震災による大規模地盤沈下による潮間帯生物群集への影響を明らかにするため、3年間に渡り岩手県越喜来湾の防波堤壁面上の生物遷移過程を調査した。その結果、地盤沈下した裸地にチシマフジツボが最初に付着したことに加え、津波により雑食性のキタムラサキウニが一時的に激減したことにより、潮間帯には一時的に多様性の高い生物群集が形成された。しかし、その後のキタムラサキウニの密度増加とともに多様性は減少し、2014年末には震災前に似たキタムラサキウニのみが優占する磯焼け状態に戻りつつある。この遷移過程は過去に行われた実験と酷似し、キタムラサキウニの生態学的影響の大きさが本震災で検証された。
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