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2014 年度 実績報告書

シオミズツボワムシのストレス耐性の動的変化と増殖不良の予知

研究課題

研究課題/領域番号 24580281
研究機関北里大学

研究代表者

吉永 龍起  北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (30406912)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードシオミズツボワムシ / ストレス耐性
研究実績の概要

シオミズツボワムシ複合種(Brachionus plicatilis species complex)は,海産仔稚魚の初期餌料生物として重要な動物プランクトンである.一方,種苗生産の現場における大量培養では,増殖不調や突然の大量斃死などの問題が残されている.申請者は,薬剤(ユグロン)耐性を指標としてワムシの生理状態を評価する手法を開発し,増殖の不調を予知できることを見出した.一方,ワムシの個体群はさまざまな齢の個体から構成されており,齢構成によって個体群は異なる挙動を示す可能性がある.そこで,齢がストレス耐性に及ぼす影響を検討した.まず孵化直後の個体に熱ストレスを処理し,一定の回復時間を設けた後に致死的な濃度のユグロンに曝したところ,熱ストレス処理を行っていない対照区と比べて生存時間が有意に長くなった.したがって,シオミズツボワムシは孵化直後からストレス応答機構を有することが分かった.シオミズツボワムシは単性生殖を営み,2倍体の遺伝的に均一な単性生殖卵を産む.そこでまず携卵個体について上述と同様のストレス耐性試験を行ったところ,孵化した仔虫の生存時間は有意に長くなった.次に,単性生殖卵のみを分離して同様のストレス耐性試験を行ったところ,無処理の対照区と比べて生存時間は有意に長くなった.すなわち,シオミズツボワムシは孵化前の段階でもすでにユグロンに対する応答機構を有することが明らかとなった.これは,(1)熱ストレスに応じて発現するタンパク質(例えばHSP)の転写産物が細胞分裂の過程で分配されることや,(2)熱ストレス処理によりゲノムに化学的な修飾が起こり,エピジェネティックな遺伝子発現の制御が起こっていたことによる可能性が考えられた.このメカニズムが明らかとなれば遺伝的に均一な個体群に生じる表現形の多様性を説明できるため,今後の検証は極めて重要である.

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公開日: 2016-06-01  

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