研究課題
哺乳類のヘルパーT 細胞(Th 細胞)は,発現される転写因子やサイトカインの産生パターンの違いにより,機能的に異なる「亜集団」に分類され,免疫応答を制御する重要な役割を果たしている.近年,魚類においても,哺乳類のTh1 細胞やTh2 細胞の転写因子およびサイトカインのホモログ遺伝子が同定され,魚類のT 細胞亜集団の存在が示唆されている.我々はコイのCD4+T 細胞,すなわちTh 細胞が単クローン性に増殖できる培養系を独自に確立しているが,本研究では,T 細胞増殖因子であるコイIL-2 のリコンビナントタンパク質(rcIL-2)を用いてクローン作製の効率化を図った.得られたT 細胞クローンを増殖させ継代を繰り返した結果,5 つのクローンにおいて安定的な継代培養が可能となった。これらクローン(Clone 1~5)の性状を解析したところ,TCR-α,TCR-β,CD4-1及びCD4-2 の遺伝子の発現は見られたが,CD8α 及びCD8β の発現は見られなかった.次に,Clone 1~5 をPHA で刺激し,Th1 関連サイトカイン遺伝子であるIFNγとTh2 関連サイトカイン遺伝子と考えられるIL-4/13A およびIL-4/13B の発現の変化を調べた.その結果,Clone 1ではIL4/13A およびIL-4/13B,Clone 2およびClone 3 ではIFNγ,さらに,Clone 5 ではIFNγrel の発現増強が認められた.Clone 4 ではどのサイトカイン遺伝子においても,他のクローンと比較して,発現の増強が見られなかった.以上のことから,Clone 1はTh2 様のクローン,Clone 2 およびClone 3 はTh1 様のクローンであると考えられた.
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 備考 (1件)
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