研究課題/領域番号 |
24580286
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
安藤 正史 近畿大学, 農学部, 教授 (80247965)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水銀 / 養殖魚 / 野菜 / Caco-2細胞 |
研究概要 |
養殖魚の水銀レベルを低下させるための野菜類のスクリーニングを,Caco-2細胞による腸管モデルを用いて実施した。野菜をすりおろしたのち,遠心分離によって得られた上清液10%(v/v),1ppmメチル水銀を含む培地をトランスウェルキットの上部に添加し,24時間以内にキット下部へ通過するメチル水銀の割合を吸収率として測定した。使用した野菜はレタス,キャベツ,タマネギ,ホウレンソウ,アスパラガス,ニンニク,ショウガ,ニンジン,ジャガイモ,トマトの10種類であった。その結果,野菜汁を用いない対照区に対して,いずれの野菜・時間とも対照区よりも高い吸収率を示し,水銀吸収阻害効果は認められなかった。この原因のひとつの可能性として,野菜汁の濃度が高すぎたため細胞の活性に悪影響を及ぼし,腸管細胞層のバリヤ機能が低下してメチル水銀が拡散に近い状態でキット下部へと通過したことが考えられた。ただし,電子顕微鏡による形態観察を行った限りではタイトジャンクションを含めて形態に異常は認められていないため,細胞自体の透過性が向上したとも考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水銀吸収阻害効果を認める野発菜類がまだ発見できていない。対策としては,対象野菜類の数をさらに増やすことの他,野菜汁の濃度をさらに下げ,極力細胞への悪影響をさけた条件で実験を行う必要があるのかもしれない。なお,培養態勢の立ち上げ年度であったためスクリーニング速度が遅かったことも原因のひとつである。
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今後の研究の推進方策 |
野菜類の数を増やし,あるいは野菜汁の混合比率を変えて水銀吸収阻害活性をもつ野菜を探索する。また,Caco-2細胞によるモデルの他,魚類の腸管自体を用いて同様の実験を行う。Caco-2細胞はヒト由来であり,かつ株化細胞であるため,実際に腸管細胞に分化した細胞の集合体である魚類腸管そのものを用いることにより阻害効果が認められるかもしれない。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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