マダイ活魚の腸管を用い,野菜圧搾液(ダイコン,レンコン,サトイモ,カブ,ゴボウ,トウモロコシ,アボカド,ゴーヤ,シシトウ,サンチェ,ニラ,ネギ,トウミョウ,コマツナ,チンゲンサイ,フキ,レタス,ニンニク,ニンニクの芽,レッドオニオン,ミズナ,オオバ,ワサビ,ミョウガ)によるメチル水銀吸収阻害効果を検討した。その結果,対照実験の吸収率(77.2%)に対して有意な吸収阻害効果が認められたのは,ワサビ(57.8%),コマツナ(62.9%),サンチェ(54.4%),ゴーヤ(53.1%),ミズナ(46.7%),トウモロコシ(43.6%),オオバ(43.4%),アボカド(41.8%),ゴボウ(39.3%),シシトウ(39.3%)であった。これらの野菜を含めて分類ごとに分けると,果菜類は実験に用いた4種中すべて,香辛野菜類も3種類中2種で有意な吸収阻害効果が見られた。しかし葉茎菜類では,13種類の野菜を用いたのにも関らず、3種でしか有意な効果が見られなかった。次に,吸収阻害効果の認められた野菜圧搾液について,分画分子量3000の言外ろ過膜を用いて分画し,分子量3000以上と以下の2つの画分について同様の実験を行ったところ,シシトウ,ゴボウ,ミズナ,サンチェ,オオバにおいて高分子側に吸収阻害効果が認められた。一方,ワサビ,コマツナにおいては分画後に両画分ともに効果が消失した。おそらく,分画膜に阻害効果を有する物質がトラップされたものと思われる。また,オオバにおいては高分子側で吸収促進が認められており,新たな機能性を有する物質の存在がうかがわれた。
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