平成25年度は、サケ稚魚の細菌性鰓病早期診断技術の開発と、この技術を用いたふ化場産稚魚の鰓病診断を行った。稚魚の脳コレストキニン遺伝子(CCK)の発現量は、体重1g以上、水温5~15℃、絶食72時間未満の時、稚魚の成長、飼育水温および絶食の影響を受けないことがわかった。この条件下で、稚魚の高密度飼育試験を行ったところ、飼育水立米当たり40kgの飼育密度により、稚魚に細菌性鰓病が発症した。この鰓病発症に至るまでに、稚魚の脳CCKの発現量は有意に増加し、発症後に低下した。一方、飼育水立米当たり10kgの低密度では、この発現量が0.02~0.04(比較相対値)の間で比較的安定した値を示した。以上の結果から、脳CCK発現量の値を指標として、サケ稚魚の鰓病発症を予兆できる可能性が示された。 北海道内10箇所のふ化場で飼育されている稚魚の脳CCK発現量を調査した結果、それらの値は0.027~0.040を示した。脳CCK発現量の基準値を、前述の低密度飼育された稚魚の値(0.02~0.04)と仮定すると、各ふ化場の稚魚は全て健康だと推察される。
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