研究課題/領域番号 |
24580288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
伏屋 玲子 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (40373469)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | クルマエビ / 閉鎖循環 / 飼育水温 / 性比 / AFLP / TSD現象 |
研究概要 |
初年度となる平成24年度はクルマエビの解析家系を作出するため飼育下で1×1交配を行い,同じ親の受精卵から低温~高温の異なる水温実験区で種苗生産を行った.また外部形態から雌雄判別を行い,性比について検討した. 家系作成のため,養殖場より体長150~160mmのクルマエビを購入した.当所では掛け流しによる飼育は不可能であるため,閉鎖循環系による飼育環境をまず整備した.FRP水槽に外部フィルターまたは泡沫分離装置を取り付け,水温は常温とし,エアレーションにより通気を行い,1日おきまたは毎日1/4~1/5の換水を行った.1×1交配家系を作成するするためにオス1個体に対し,メスを複数個体入れ,餌として配合飼料(ヒガシマル,ゴールドプローン)を毎日投与した.交尾栓が確認されたメスについてはポリエチレンタンクに隔離し,産卵誘発のために片眼柄処理を施し,採卵を行った.同じ1×1交配家系から生まれた受精卵を30,24,18℃試験区用に3分割し,珪藻およびアルテミア給餌により飼育を行った.飼育水温による成長差が大きく,また18℃区は成長だけでなく生残が悪かったため,約1ヶ月後に死滅した.30℃と24℃試験区を約4ヶ月後に取り上げたところ,30℃区で144個体,平均体長108.2mm,24℃区では230個体,平均体長78.1mmであった.形態観察により雌雄判別を行ったところ,オス:メスは30℃区で0.54:0.46,24℃区で0.49:0.51となり,どちらも性比は1:1であった.両親およびサンプリングした30,24℃区の稚エビからゲノムDNAを抽出し,AFLPマーカーによる解析に着手し,引き続き新たな家系作出を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
飼育開始当初に1×1交配がみられず,水槽の大きさやエビの密度を変えて試験する期間が長くなり,予定よりも採卵および種苗生産が遅れた.しかし,今回の試験では30,24℃試験区で性比に偏りがみられていないことから,研究計画通り新規AFLPマーカーの開発と並行して,既存のマーカーが使用可能かどうかを試験する.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度にサンプリングした個体のゲノムDNAをもとに,既存のクルマエビAFLPマーカーを用いて性比の偏りがみられない家系で使用できるか試験する.それと並行して,新たなAFLPマーカーの開発を行う. 現在交配試験を行っている新しく作出する家系において,形態観察により性比の偏りのみられない水温区に対して遺伝マーカーで解析し,性連鎖遺伝マーカーを開発する.また,形態から性比の偏りがみられた水温区については,新しく開発した遺伝マーカーによりTSDかどうかを調べる.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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