海底堆積物中に存在する渦鞭毛藻のシスト自体あるいは発芽細胞に寄生する微生物の正体を明らかにするため,形態および分子系統学的解析を行った。その結果,外部寄生する菌類は,フタナシツボカビ目およびロブロミケス目のツボカビであることが判明した。大船渡湾からは培養可能なフタナシツボカビ目の分離に成功した。一方,内部寄生者は,広義のツボカビ類に属する新規菌類であると考えられた。この結果は,海産渦鞭毛藻には多様な寄生性ツボカビが存在していること,そして,それらの個体群動態を理解するには,「寄生」を考慮することが不可欠であることを示している。
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