研究課題
魚類の主要なトリアシルグリセロール(TAG; 脂質の主成分)蓄積部位は肝臓および筋肉であるが,両組織におけるTAGの存在比は魚種ごとに大きく異なっており,トラフグやヒラメのように主に肝臓に蓄積する魚種(寡脂魚)と,マダイやカンパチのように肝臓と筋肉の両方に蓄積する魚種(多脂魚)に大別される。我々は,魚類筋肉の脂質含量を制御する分子機構について研究を進めており,昨年度までに,血液中のTAG含量はトラフグおよびマダイで同程度であることを明らかにした。したがって,魚種間の筋肉TAG含量の違いは,筋肉へのTAGの取り込みの段階で生じていることが示唆された。本年度は,筋肉へのTAG取り込みに重要とされる成長ホルモン(GH)に着目して実験を行った。トラフグ肝臓切片を大腸菌で作製した組み換えトラフグGHで処理し,mRNA量が変化する遺伝子をマイクロアレイで網羅的に探索した。同定された遺伝子には,細胞への脂質取り込みに重要なリポタンパク質リパーゼ(LPL)遺伝子や,血液中で脂質と結合するアポリポタンパク質遺伝子などが含まれていた。脂質代謝との関係が深いと考えられた遺伝子につきリアルタイムPCRを行ったところ,概ねマイクロアレイ解析と一致した結果が得られた。今後は,個々の遺伝子の機能解析を進める予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
年次計画よりも早く網羅的解析が終了し,機能解析に着手することができたため。
研究計画に沿って進める。また,ヒラメは寡脂魚でありながら鰭の付け根に豊富な脂質をもつ魚種であり,脂質の分配を考える上で興味深い対象である。本魚種をモデルに含めることも検討している。
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