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2013 年度 実施状況報告書

魚肉タンパク質と魚油の混合利用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24580300
研究機関東京海洋大学

研究代表者

岡崎 惠美子  東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (40371851)

研究分担者 大迫 一史  東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (00452045)
キーワードすり身 / 魚油 / 乳化 / 加熱ゲル形成能 / 融点
研究概要

これまでに、担当者は、EPAやDHAなどの健康機能性に富む食品開発を目的として、魚油を豊富に含む魚肉すり身素材(乳化すり身)の製造と利用に関する研究を行ってきた。その過程で、①魚肉すり身に魚油(トリグリセリドタイプ)を高速攪拌、すなわち強い物理的な力で混合すると魚油は微粒化し、すり身の加熱ゲル形成性に寄与すること、また②高度な乳化はすり身の加熱ゲル形成性や保水性を阻害せず、むしろ高める効果があること、等を明らかにしてきた。しかし、すり身に添加する油脂の性状の影響の詳細は不明であった。そこで、25年度の研究においては、とくに添加する油脂の性状が乳化すり身加熱ゲルの性状に及ぼす影響について検討した。
まず、試料として魚油、豚脂、大豆レシチンをそれぞれ用いた乳化すり身の性状を比較したところ、すり身中への油脂の分散状態が非常に異なっており、魚油では10μm以下の微小な油球となるのに対し、豚脂では油球サイズが非常に大きくなること、レシチンでは不定型な形状となることが確認された。また、それぞれの乳化すり身から得た加熱ゲルの性状を比較したところ、魚油を用いた場合に最も加熱ゲル形成性が高かったことから、脂質組成や融点がその性状に影響することが示唆された。
このことから、次に融点の異なる2種の魚油、ならびに3種のパーム油をモデル的に用いて調製した乳化すり身の性状を比較したところ、油脂の融点によってすり身中に分散する脂質粒子の分布状態が大きく異なり、融点が低いほど油球サイズが微小になること、ならびに加熱ゲル形成性が高まる傾向のあることが確認された。
以上のように、乳化すり身調製に用いる油脂の性状はすり身中への油脂の分散状態ならびに乳化すり身加熱ゲルの性状に影響することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、本研究の目的の一つである「魚肉と魚油の混合利用において、これまで未解明の各種現象を定量的に評価するための研究の一環」として、乳化魚油の性状の影響について実施したものであり、一定の成果が得られた。今後、より詳細に検討していく予定である。

今後の研究の推進方策

26年度は、魚油の微粒化が高い加熱ゲル形成能をもたらすメカニズムの解明にむけた検討を行う。これまでの予備実験結果から、加熱ゲル化温度帯によって、得られるゲル形成能向上効果が異なっていることが明らかになっている。そこで、微粒化魚油を含むすり身を塩ずりし、これを種々の温度で加熱して得られたゲルについて、それぞれ尿素、SDS、2-メルカプトエタノールなどを含む各種の溶媒に対するタンパク質の溶解性と溶解画分のSDS-PAGE分析などから、すり身中に含まれるタンパク質が脂質との混合系における加熱ゲル化においてどのような結合力を介して凝集しているのかを調べ、共有結合、SS結合、疎水性相互作用、水素結合等に対して介在する脂質の存在による影響があるか否かについて明らかにする。
また、魚油の乳化による魚肉の加熱ゲル形成能増強効果は、脂質のすり身中での物理的分散状態や、油系と水系の界面におけるタンパク質膜の強度や状態によっても影響されることが想定されるため、これを裏づけるための顕微鏡観察による組織学的研究も併せて行う。

次年度の研究費の使用計画

年度末に論文投稿を予定していたが、26年度に延期としたため。
26年度は設備備品の購入予定はなく、消耗品購入、学会参加のための旅費、論文投稿および英文校閲のための使用を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Changes in physical properties and protein solubility of heat-induced surimi gel prepared by emulsification with fish oil

    • 著者名/発表者名
      Huynh Thi Thu Huong, Reo Ito, Naho Nakazawa, Seiji Noda, Kazufumi Osako and Emiko Okazaki
    • 学会等名
      平成26年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      北海道大学(函館)
  • [図書] 第22回水産油脂技術懇話会記録「乳化すり身の製造と利用に関する研究」2013

    • 著者名/発表者名
      岡﨑惠美子
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      一般財団法人日本水産油脂協会

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公開日: 2015-05-28  

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