研究課題/領域番号 |
24580301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
石崎 松一郎 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (40251681)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アレルギー / 食品 / アレルゲン / 魚貝類 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
魚貝類アレルギー原因遺伝子群の網羅解析にとってアレルギーモデルマウスの構築は必須である.平成24年度においては,魚貝類の多様さを考慮し,甲殻類・軟体動物トロポミオシンおよび魚類パルブアルブミンに対応したアレルギーモデルマウスを構築することを計画した.すなわち,甲殻類アレルギーの主要アレルゲンであるトロポミオシン(Tm)をブラックタイガー筋肉中から抽出し,得られた抽出液を硫安塩析(0-50%),等電点沈殿(pH 4.6),逆相HPLC(カラム:TSKgel ODS-120T)に供することでTmの精製を行った。また精製したTmの濃度,精製度およびアレルゲン性をDCプロテインアッセイ,SDS-PAGEおよびELISA法によりそれぞれ確認した. つぎに,6週齢のBALB/cCrSlcマウス(三協ラボサービス社)に精製したTmを投与してアレルギーモデルマウスの作製を試みた.すなわち飼育0,4日目に一次免疫としてTm 25 μg/mouseを腹腔内投与し,飼育10,11日目に二次免疫としてTm 12μg/mouseを経口投与し,さらに飼育21,22,23日目に三次免疫としてTm 12 μg/mouseを経口投与した.0,12,20,24,39,53日目には尾静脈から血液を採血し,ELISA法により血中抗Tm IgE抗体量を測定した.精製Tmをマウスに投与した結果,血中抗Tm IgE量は有意に増加したことから,Tmアレルゲンに特異的に結合するIgEが生産され,結果として甲殻類アレルギーモデルマウスを構築することができたと判断された.なお,魚類アレルギーモデルマウスについては飼育投与試験を継続中である.さらに,甲殻類アレルギーモデルマウスについては,cDNAライブラリーの作製を行っている.現在,甲殻類アレルギー応答時における各種遺伝子の発現解析に向けた準備を行なっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度における最大の目的は,魚貝類アレルギーモデルマウスの作製であった.モデルマウスが得られなければその後の遺伝子解析ならびに抗アレルゲン性機能評価を実施することは不可能であることから,甲殻類・軟体動物トロポミオシンおよび魚類パルブアルブミンに対応したアレルギーモデルマウスの作製に重点を置いたが,おおむね本目的は達成される見込みである.今後は甲殻類アレルギーモデルマウス特異的遺伝子の網羅的解析および甲殻類アレルギー応答時における各種遺伝子の発現解析に早急に取り組みたい.
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今後の研究の推進方策 |
甲殻類・軟体動物トロポミオシンおよび魚類パルブアルブミンに対応したアレルギーモデルマウスの作製は近日中に完了する見込みであることから,平成25年度はまず甲殻類アレルギーモデルマウス特異的遺伝子の網羅的解析および甲殻類アレルギー応答時における各種遺伝子の発現解析を中心に行う予定である.その後,甲殻類で得られた情報を基に,魚類アレルギーモデルマウスにおいても同様の特異的遺伝子の網羅的解析およびアレルギー応答時における各種遺伝子の発現解析を実施し,両者の結果から総合的に魚貝類アレルギーの発症に関与する病態関連遺伝子群を特定する計画である. さらに,マイクロアレイを用いた甲殻類アレルギー応答時における網羅的遺伝子発現解析やフローサイトメトリー法による好塩基球特異的マーカーの発現量解析などを加えて,より正確な魚貝類アレルギー関連遺伝子群の特定と標的分子マーカーの選別を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では,研究経費としては消耗品費,国内旅費(研究成果発表のための旅費を予定),謝金(大学院学生による実験補助に対する謝金および論文校閲料を予定)およびその他(DNAマイクロアレイ受託解析費,研究成果の投稿料)を計上した.国内旅費,謝金およびその他はいずれも研究実施にあたって妥当かつ必要な経費であると考える.平成25年度は,消耗品費には主として遺伝子解析,フローサイトメトリー解析,DNAマイクロアレイ解析に係わる消耗品の購入を予定している.
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