甲殻類は様々な体色を呈するが、これは外骨格中にクラスタシアニン(CRCN)と呼ばれる色素タンパク質によるものである。本タンパク質はCRCN-A、CRCN-Cと呼ばれる2分子のサブユニットが2分子のカロテノイドと非共有結合し、基本構造をとっている。甲殻類をゆでると一様に赤くなるが、これはCRCNのアポタンパク質からアスタキサンチンが放出されるためである。この事実から甲殻類の色彩多様性は色素部位ではなく、アポタンパク質側に起因すると推察される。昨年度までに両サブユニットの組替えタンパク質発現系の確立に加えて、両サブユニットが想定より多くのパラログ遺伝子を有している可能性を示してきた。今年度はより効率の高い発現系の確立およびアスタキサンチンとの再結合条件の確立、およびパラログ遺伝子のNGSを用いた解析を行った。
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