研究課題/領域番号 |
24580308
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
花澤 重正 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60060258)
|
研究分担者 |
舛廣 善和 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (00336083)
藪 健史 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (00551756)
今村 伸太朗 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (80510007)
|
キーワード | ゼブラフィッシュ / 細胞膜透過性分子 / TIPE2 / 形態形成 |
研究概要 |
哺乳動物の自然免疫及び多機能免疫反応の負の制御因子であり、免疫システムの恒常性維持に関与するTumor necrosis factor-α-induced protein8 like2(TIPE2)はゼブラフィッシュでは2種類(TIPE2a,TIPE2b)存在することを遺伝子クローニングから明らかにした。TIPE2ノックアウトゼブラフィッシュを作製したところ、ゼブラフィッシュの頭部組織形成に異常が生じた。このことからTIPE2はゼブラフィッシュの形態形成に関わっている可能性が考えられた。そこで、この点を詳細に検討するため、ヒトTIPE2抗体を用いてノックアウトゼブラフィッシュ組織におけるTIPE2発現の有無を検討した。まず、Zebrafish Embryonic 細胞(ZE細胞)にzTIPE2a,zTIPE2bをそれぞれ強制発現させ、Western blotting法によりヒトTIPE2抗体を用いて検出を行い、その相同性を確認した。その結果、ZE細胞に強制発現させたzTIPE2a及びzTIPE2b蛋白質はヒトTIPE2抗体により明らかに反応した。故に、TIPE2ノックアウトゼブラフィッシュ胚におけるTIPE2発現についてヒトTIPE2抗体を用いて調べた。その結果、TIPE2発現は認められなかった。この結果はTIPE2ノックアウトゼブラフィッシュが作製できた事を示唆することから、今後、この点をより詳細に検討したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞膜透過性シグナル分子の生体内における時空間的機能を解析するには優れたモデル実験システムを構築する事が極めて重要であると考える。今年度はこの研究目的を達成する為の研究計画の戦略を構築した。其の研究計画に従い、免疫システムの恒常性維持に関与するTIPE2のノックアウトゼブラフィッシュを作製することに着手した。概ねそのノックアウトゼブラフィッシュの作製に実験を漕ぎ着ける段階にきた。さらに、この分子がゼブラフィッシュの初期発生における形態形成に関与している事を示唆する知見を得た。しかしながら、遺伝子組換え細胞膜透過性TIPE2の作製には至らなかった。従って、当初の研究企画より若干その達成度は遅れているが、概ね順調に進展しているものと思う。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はTIPE2ノックアウトゼブラフィッシュの作製の確立を目指す。もしその作製が確立されたら、このノックアウトゼブラフィッシュを用いてた遺伝子組換え細胞膜透過性TIPE2の生体内における機能の時空間的発現を検証する実験モデルシステムを構築する予定である。この実験モデルシステムは脊椎動物の初期発生におけるシグナル伝達分子の時空間的機能発現の解析に極めて貢献できるのではと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験試薬及び器具を10万円で発注したが,見積もりが予定より安かったため。 未使用分5,500円と次年度請求金額100,000円の合計105,500を次年度のMTMの機能性発現に関する実験の試薬購入費として使用する。
|