名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(2010)が開催されるなど,生物多様性保全への関心が高まる中,遺伝資源多様性の経済価値評価を通して品種改良における重要性を明らかにすることを目的とした。具体的には、遺伝資源データの蓄積状況を把握し多様性を把握する指標作成を試みること、および多様性の喪失は品種改良成果に悪影響を及ぼす可能性があるのかを明らかにすることであった。分析の結果、1990年代にかけて、変動係数でみた多様性指標は上昇するものの、その後は一定で推移、多様性の拡大が鈍化していた。一方で、品種ごとの検査項目数を示すリッチネス指標は上昇しており、既存資源の利用拡大に向けたものと想定される。
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