本研究は農業の6次産業化を促進する戦略的産業人材の育成を狙いとしている。本研究は国際的な観点から、海外調査を位置づけ平成24年度と平成25年度はスペイン、平成26年度はドイツを対象国として、アメリカの研究チームと合同で食品産業調査を実施した。その調査結果の議論のなかから、6次産業化サイクルからスピンオフしてビジネス展開を始める条件として、バイイングパワーのシステム化が決定的な要因を形成しているという知見がもたらされた。また国内の6次産業調査においては、秋田県の普及指導員組織に対して、普及教育に関する実態調査を繰り返し行ってきた。普及教育においては心理学的な教育手段を用いて戦後長く実践してきた経緯がある。そこでどのような効果が見られたのかを普及員と農業者に対して綿密なインタビュー調査を行った。そこで得られた知見は、技術普及に偏らない総合的普及教育の優位性が確認されたことである。 これらの研究活動をとりまとめ、アメリカの研究チームのアドバイスをうけ、また国内のビジネスファシリテーターの協力を得て、アクションラーニング原則に基づいた6次産業を担う戦略産業人材を育成する教育プログラムを開発し、教材化に取り組んだ。さらに開発した教育プログラムの効果判定を行うため、平成24-26年度の3年間にわたって栃木県内の農業者のべ40名を対象として人材育成セミナーを実施し、教育プログラムの有効性を確認するとともに、より効果的なプログラム開発に向けて修正を加え、プログラムの改善を図った。
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