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2012 年度 実施状況報告書

原発事故による農産物風評被害の実態と要因の解明―フードシステム全体からの接近―

研究課題

研究課題/領域番号 24580314
研究種目

基盤研究(C)

研究機関千葉大学

研究代表者

栗原 伸一  千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (80292671)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際情報交換 / 東日本大震災 / 原発事故 / 風評被害
研究概要

当該年度は課題研究初年度ということもあり,精力的に調査を実施した。実施対象は施設野菜農家および消費者である。以下その成果の概要(簡単な単純集計のみ)を述べる。まず,農家調査では,全国の施設園芸の生産者334件を対象に,郵送調査によって2012年9月に実施した。その結果,半数の農家が原発事故による経営への影響を「(やや)あった」と回答し,具体的な被害金額は200~300万円が最も多かった。なお,地域別では福島県や栃木県における被害額が大きくなっていた。また,「被害が現在も続いている」と回答した農家は全国で16%にも上っており,風評被害を含めた原発の影響は我が国の農業に対して大きなインパクトを与え続けていることが分かった。次に,消費者調査を東京,大阪,福島の3都県の主婦を対象に実施した。大阪,福島については未だ集計中であるため,東京都の結果のみをここで紹介しておく。民間調査会社のモニター登録時にアンケートを実施した結果,90名の主婦のうち76%が原発事故前と比べて食の安全性に対する関心度が「(やや)高くなった」と回答した。また,現在福島県産の農産物の購入を「極力控えている」と回答した主婦は19%に上っており,残りの主婦についても40%が「他産地よりも安ければ購入する」と回答していた(平均2.2割の値引きを表明)。以上のように当該年度は,いわゆるフードシステムの川上である生産者と川下である消費者を対象にアンケート調査を実施したが,単純集計だけを概観するだけでも,我が国農業における原発事故による風評被害の深刻さがうかがえる結果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画では,当該初年度は消費者に対する調査のみを実施する予定であったが,課題の性質から,極力早急にフードシステム全体の調査を完了した方が良いと考え,本来は次年度(2013年度)に実施予定であった生産者(農家)調査も実施した。また,それらの結果についても,まだ単純集計段階ではあるものの,おおむね期待された成果が得られたと推測している。

今後の研究の推進方策

調査としては,いわゆるフードシステムの川中である加工業者や流通業者に対するアンケートの実施を計画している(ただし,時間的制約から2013年度はどちらか一方の調査となる可能性が高い)。また,当該年度に実施した2つの調査結果を計量的に分析し,その成果を論文に纏め上げて公にすることで,原発事故の我が国農業への影響についての情報を各方面と共有できるようにしたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The Impacts of the Imperfect Storm on Northeast Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Kurihara, S., A. Maruyama, S. Sakurai, M. Nishiyama, S. Shimoura and A. E. Luloff
    • 雑誌名

      Sociology Study

      巻: 2 ページ: 239-251

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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