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2014 年度 実績報告書

原発事故による農産物風評被害の実態と要因の解明―フードシステム全体からの接近―

研究課題

研究課題/領域番号 24580314
研究機関千葉大学

研究代表者

栗原 伸一  千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (80292671)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード農業経済学
研究実績の概要

最終年度となる平成26年度は、福島県産花きの風評被害について新たに調査するとともに、研究期間に実施した複数の調査を総括した。
もともと本研究の副題では「フードシステム」という言葉を用いていたが、調査を進めるなかで、食用でない農産物(具体的には観賞用の花き)の風評被害も無視できない状況にある事実が浮かび上がってきた。そこで、最終年度ではあるものの、急遽、東京都の消費者(N=670)および生花店(N=240)に対して、福島県産花きの意識調査を9月に実施した。その結果、食用農産物の買い控え率(67%)に比べれば低いものの、非食用(観賞用花き)であっても買い控えをする消費者が相当数(56%)存在することが確認された。また、用途によって、その程度には差があり、なかでも自宅用の買い控え率(45%)が高いことがわかった。ただし、放射能検査や生産履歴に関する情報を提供することで(買い控えると回答した)半数以上が購買意欲を示すことも明らかとなり、今後の福島県産花きのマーケティングに資する知見を得ることができたといえる。一方、生花店への調査からは、現在、福島県産花きを扱っていない店舗は27%で、その理由が放射能であるとしたのは(扱わない店舗の)15%であることが判明した。ただし、そもそも産地表示をしている店舗自体が少ない(17%)ため、福島県産花きの風評被害はまだ社会的に表面化していない事実がうかがえた。
なお、本研究期間を通じて、2つの仮説店舗型会場実験(東久留米市、松戸市)と3つの郵送調査(福島、東京、大阪)を実施した。これらを総括した結果、福島県に近いほど放射能検査の情報効果が強く出現するなど、地域特性に関する知見を新たに得ることができた。これら期間内に取り組んだ調査のメタ分析についての論文は『フードシステム研究』に投稿され、21巻3号に掲載された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 生鮮食品における地域別・世帯属性別の消費傾向―2000年から2009年の家計調査個票を使ったパネルデータ分析―2015

    • 著者名/発表者名
      栗原伸一・霜浦森平・丸山敦史
    • 雑誌名

      農業経営研究

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Role of Risk-Related Latent Factors in the Adoption of New Production Technology: The Case of Japanese Greenhouse Vegetable Farmers2014

    • 著者名/発表者名
      Kurihara, S., T. Ishida, A. Maruyama, A. E. Luloff and T. Kanayama
    • 雑誌名

      International Journal of Agricultural Science and Technology

      巻: 2(2) ページ: 53-60

    • DOI

      10.14355/ijast.2014.0302.01

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 放射能検査情報が購買行動に与える影響と風評被害の要因分析―会場実験とアンケート調査を併用した地域格差の検証―2014

    • 著者名/発表者名
      栗原伸一・石田貴士・丸山敦史・松岡延浩
    • 雑誌名

      フードシステム研究

      巻: 21(3) ページ: 182-187

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 生鮮食品における地域別・世帯属性別の消費傾向―2000年から2009年の家計調査個票を使ったパネルデータ分析―2014

    • 著者名/発表者名
      栗原伸一
    • 学会等名
      平成26年度日本農業経営学会研究大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2014-09-20
  • [学会発表] 放射能検査情報が購買行動に与える影響と風評被害の要因分析―会場実験とアンケート調査を併用した地域格差の検証―2014

    • 著者名/発表者名
      栗原伸一
    • 学会等名
      2014年日本フードステム学会大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2014-06-15

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公開日: 2016-06-01  

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