研究課題/領域番号 |
24580315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 義明 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (80210730)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中国 / マレーシア |
研究概要 |
本研究「植物の知的財産保護についての経済学的検討」の研究目的は主に次の2つである。1.新たなバイオテクノロジーで開発された植物品種の経済的価値が途上国における園芸生産と市場の発展によって飛躍的に大きくなっていることを明らかにすること。2.これらの技術において、大きな比重をしめるUtility patentを含めた植物知的財産権の経営上、経済上の意義について解明する、ことである。これらの所期の目的のために、今年度は新興市場である中国の文献・統計資料の収集を積極的に行い、必要な翻訳を依頼するなど、文献整理研究を行った。また24年度の研究計画は海外市場の実態調査に重点をおいて実施することにした。当初は計画した中国調査は実施できたが、もう一つ計画していた米国調査については、カウンターパートの日程等により、3年目に予定していた東南アジア調査を今年度に変更して実施した。 この変更にかかわらず、3年間の計画自体は大きな修正をすることなく、順調に調査研究が進捗している。なお成果発表については、2年目以降に予定していたが、前倒しで学会発表(農業問題研究学会秋季大会個別報告)を学生と連名で「育種技術の発展と植物地益財産権の変容」というテーマで行った。さらに、報告内容を整序して、やはり学生と連名の同テーマの研究論文として投稿した。その他、マレーシア農業省において研究打合せを実施し、25年度以降の植物知的財産権保護についての途上国の政策方向についての研究の端緒をつかむことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現地調査については、米国調査を延期したという問題はあったものの、中国の主要園芸地帯を中心とした植物知的財産権についての経済的価値の大きさについて十分に把握できたこと、及びマレーシア等の東南アジア諸国の調査・研究交流により途上国の植物知的財産権に関する利害を把握するきっかけができたことは研究を進める上で大きな成果であると考えている。 また文献研究が当初の予定どおりに進捗している。翌年度を予定していた学会報告を前倒しで実施できたことも、中国の資料収集及び統計分析を順調に行うことができたことによる。さらにこの問題をめぐる途上国と先進国の対立関係について、具体的に把握するための前提となる、COP10その他の発表資料等の文献収集ができたこと及びマレーシア政府資料へのアクセスができる見通しを得たことは、25年度の研究につながるものであると考えている。 成果発表について、学会報告及び1報目の論文投稿が当初よりも早く実施できたことについては望外であった。それに加えて、現時点で2報目の執筆も行っており、結果的にアジア地域の調査を優先させたことが、良い結果を生んでいるように思う。 以上の理由により、研究の達成度は当初の計画以上に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
4月末から10日間程度、東南アジアへの再調査を実施する予定である。これは当初の計画とはやや異なるが、マレーシア政府資料へのアクセスと政策当事者とのディスカッションを行う目的で実施する。また9月以降に中国、タイ、シンガポールの植物園関係者及び生物多様性条約に関連するセクションとの情報交換も行いたいと思っている。その他、予算が許せばできうる限り、25年度は政策当事者を中心にアジア各国を中心に情報収集を実施したいと計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に引き続き、資料収集とその翻訳のための留学生への謝金及び現地調査のための出張旅費を中心に研究費を使用したい。具体的には、中国関係の政府資料・統計・関連文献の収集をさらに行うこと。また中国、東南アジアへの出張旅費へ出費したいと計画している。
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