研究課題/領域番号 |
24580315
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 義明 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (80210730)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 種苗 / 知的財産権 / 育成者権 / 育種 |
研究実績の概要 |
前年度までの研究により、中国・アジアを中心とする食料市場の飛躍的発展が、新たなバイオテクノロジーによって生み出された、野菜等の植物新品種の経済的価値を増大させていることが明らかになってきた。それをふまえて、当該年度の主要な研究課題となったのは次の2点である。 1.バイオメジャー、大手種苗会社、中小種苗会社、公的育種、農民的育種の育種上の特徴と知的財産権との関連性。2.食料市場の拡大で大きなウェートを占める食肉生産において、その飼料作物に対して、植物知的財産権がどのような役割を果たしているか。1.の階層的な育種構造については、バイオメジャーのGMO油糧種子・飼料穀物、種苗会社のF1野菜、公的育種による穀物における固定種、消滅の危機にさらされるLocal Varaiety(在来固定種)という、種苗市場の構造と重なっていることが明らかになってきた。この成果については、2015年6月の「バイオテクノロジーと知的財産権-植物遺伝資源の利用と独占の現段階-」として学会シンポジュウムで発表し、年度内に学会図書として出版されるはこびである。2の飼料作物については、4月の中国蔬菜科技展調査時に、配合飼料の構成要素についての資料収集を行い、併せて、大規模養豚業についての現地調査を行った。その成果の一部については「中国有機農業のおける有機質供給と経営形態の発展に関する研究」として発表した。次いで「中国食肉生産急増下における循環型農業実現可能性に関する研究」として、2015年度に発表予定であるが、重要な点は、バイオメジャーが開発した、6000万トンを超える輸入GMO大豆の搾油後の大豆粕が、急速に増大する中国食肉生産における主要な飼料となっていることである。以上の研究結果から、この急拡大する市場からの莫大な利益の一部がロイヤリティとなっているという仮説を提示しうる段階に到達しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2014年度で研究計画は終了する予定であったが、年度末の調査日程が延期となり、2015年度に一部がずれ込むこととなった。その理由は、主に調査先とのスケジュール調整がつかなかった点にあるが、研究の進展が全体的に遅れ気味であったことに遠因がある。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に実施できなかった、米国における植物知的財産権の運用実態とロイヤリティの存在形態に関する調査を今年度に実施し、これまでの研究結果と併せて、2016年度末までに総括的な論文として発表することが、今後の研究の推進方策である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度に予定していた海外調査が日程調整がととのわず2015年度に延期になったため、旅費として支出を予定していた319,910円が、次年度へと繰り延べとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度は、本研究課題を実施するために、海外調査(米国における植物知的財産権の運用実態とロイヤリティの存在形態について)を予定しており、全額をそれに支出する予定である。
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