研究概要 |
今日,流域圏内にある森林組合,農協,漁協,河川漁協,市民団体,そして自治体などが連携して,流域圏の環境再生活動に取り組む事例が散見されるようになった。異業種の組織間のネットワークを形成して取り組む彼らの活動は上流域から下流域までの流域圏の 環境保全を促す活動として注目されている。 その活動は,自然を利用して生業を成り立たせている農林漁業者らの視点に立つと,環境再生の意味を越え,地域再生・産業再生を 図るための活動である。それゆえ研究課題として考えるべきは,環境再生活動が農山漁村の地域経済にどのような影響を及ぼすのか,となる。 本研究の目的は,流域圏内の環境再生活動と地域経済の関係を異業種のネットワークの態様から明らかにすることである。研究方法の柱は次の①~③とする。①河川流域を巡る自然と農林漁業など産業間の利害関係をモデル化すること。②環境再生活動の実態調査を通して異業種のネットワークの参加の論理を明確化すること。③異業種ネットワークへの参加の論理とその活動の態様を明確にし,そこから地域経済の発展の論理を探ること。 本年度は①と②を実施した。結果として次のような結論となった。異業種の団体が一つのネットワークに参加している動機として、環境再生や環境調査を協働で行うことにより,それぞれの暮らし・仕事場の自然環境の悪化が水環境に悪影響を及ぼしていたり,水環境の悪化から生じていたりしているという認識が共有されていること,である。
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