研究課題/領域番号 |
24580317
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研究機関 | 公益財団法人国際東アジア研究センター |
研究代表者 |
小松 正之 公益財団法人国際東アジア研究センター, 研究部, 客員主席研究員 (70537133)
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研究分担者 |
細江 宣裕 政策研究大学院大学, その他の研究科, 准教授 (60313483)
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キーワード | 震災復興 / 水産業 / 漁業権 |
研究概要 |
東日本大震災と漁業権の再編問題の研究分析に関しては i漁業権制度の再編が新たに、水産業特区の形で進行しており、漁業法で定める優先順位を変更し、漁業協同組合以外の組織である、石巻市桃浦かき漁業合同会社に宮城県から漁業権(養殖業を営む権利)与えられた。その結果、生産のシステムもより共同・協力が進行し、新規参入者の若年労働力も加入成果が得られている。本件については、実態の研究とともに更に、法的また制度運営上の改善点について、検討を加えている。 ii一方、水産資源の回復に向けた漁業法上の運用について、従来の日本の方式である「オリンピック制(参入者間での自由な漁獲競争)」では、資源の乱獲を招き、多くの漁船を投入し、操業の経費を過大に投入している。 従って資源が更に減少悪化するので、これを、CO2(二酸化炭素)の排出権の取引などにみられる総漁獲量を規制したうえで、その上限の範囲内で、実績のある漁業者に配分する方策の導入に努めている。東日本大震災の地域では、この制度の説明の努力を傾注した。しかし、日本初の個別漁獲割当制(IQ)として新潟県で本格的に、24年度と25年度に取り組み、資源の回復、収入の増加と経費の削減効果の初期の目的が達成されつつある。漁獲物の魚体の大型化と経済的利益の漁業生産者と消費者への利益の還元分析の分析も行った。 iiiミヤンマーとタイでの漁業と水産業の現状と問題を現地調査したほか、米国とノルウェーでも現地調査を行った。上記の①と②の研究に反映している。特に養殖の漁業の許可の在り方をノルウェーの制度の変遷は我が国の漁業権の再編を検討する上で、参考となった。これらのi~iiiの各点については最終報告書に反映させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の平成25年度の研究実績概要欄に既述したことに基本的説明を施しているが、当研究は、震災地における漁業権の再編問題に関しても、主席研究者らのイニチアチブなどを参考にして、漁業合同会社の当該出資者らが、漁業法に定める「許可の優先順位」を変更して、養殖業の漁業権の許可を受けた。これは、戦後60年間の漁業法の歴史の中でも唯一画期的な取り組みへのチャレンジであり、それが2012年より着実に進行を見せており、かつ、その進行状況と問題点と初来の展望についても、随時現地調査を踏まえ、むしろ現場に示唆を提供しつつ予定以上のスピードで進行中である。 また、漁業法のもう一方の検討材料である新しい資源の管理制度の導入とそれの制度化のための全国への波及と将来における制度改正についても、新潟県で着々と進行し、全国的な展開にも、前向きな影響を及ぼして、中央政府でも新資源管理に関して2014年の3月からその導入の検討を開始したところである。それに対して、主席研究員も2014年、本研究の成果などを参考人として、発表をする。 また、新潟県でも新段階の検討委員会が2014年度から3か年の予定で開始されることが決定している。従って、本研究が、予定より、漸進的に進んでいることにより、各方面に良好かつ効果的な影響を与えている。 今後は、更に、漁業権の再編が障害にあたる外国の分析をくわえ、我が国の障害の除去に考察を加えるほか、勧告と提言を盛り込んだ最終報告書の作成に早目に取り組んでいく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
すでに述べたとおり、研究は予定を上回り、進行している。予算も前倒しで、支出されている。今後は、更に震災地での現地調査と現場へのフィードバックを図り、あるべき日本の水産業の姿を、本研究が対象としている、漁業合同会社と東日本大震災の被害の現場を通じて、進めていきたい。福島県を中心とする放射能汚染の影響と漁業の再編は、漁獲活動が基本的に停止していることから、今後本研究で提出する提言が対応を行いやすい環境にあると考えるので、この点を念頭に置いて、新資源管理制度の導入のための推進に更に影響を与える研究を進めたい。このバック・ストッピングの情報源として、新潟県での対応をさらに進化させるべく取り組む予定である。 また、外国にも、更に訪問。研究して、日本へのフィードバックを諮り、最終報告書に反映される勧告と提言の内容等をさらに充実させたい。 また、被害日本大震災地域だけでなく、本漁業権の再編問題の研究を通じて、ASEAN諸国等日本以外の諸国への普及への足掛かりも見出したい。 今後は上記を念頭に置き、これまでの研究の概要と成果をまとめ、それらを踏まえた、勧告と提言からなる最終報告書を完成する予定である。また、随時、精力的に発表し、国政などへの反映に努めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
分担研究者が当初計画していた学会への出席を翌年度(平成26年度)に開催されるものに変更したため 分担研究者の学会への出席に係る出張旅費、経費等
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