まず4月より、主要な中国農村組織である農民専業合作社に関する、当研究でこれまで現地調査にて収集した情報、データを整理した。これをもとに、合作社の組織デザインに関する合作社社員に対する面接調査の質問項目を設計した。それは、1「社員の家計特性」、2「社員の組織参加」、3「参加程度による社員の投資行動の相違」に関する項目(7段階での回答)からなっている。設計ではマーケティングリサーチの手法を基礎としている。 さらに、研究協力者・李妍蓉(京都大学大学院生)が研究代表者・浅見淳之の指示のもと、また現地の中南大学の調査協力のもと、7月23日より9月4日まで、中国湖南省の農村部での合作社社員に対し、この調査票を用いた面接調査を行った。浅見淳之は8月8日より8月16日まで現地に入り、面接調査とともに調査執行の調整を行っている。調査では、各村の幹部に調査補助をお願いしたが、同時に調査を理解する過程で、村幹部と農民に対し経営分析手法の研修ともなった。湖南省・永州市、チン州市、長沙市での、14の農民専業合作社を対象とし、全部で567戸の社員農家に面接調査を行うことができた。ここで得られた質問回答をデータベース化して、因子分析、回帰分析、共分散構造分析を行っており、比較制度分析理論に基づいて、合作社の規範的な農村組織デザインを設計している。特に、合作社への出荷程度と、依存度、資産特殊性、不確実性、ケイパビリティ、ホールドアップなどの要因に因果関係がみられると予想され、その因果の程度から組織デザインを検討している。
|