研究課題/領域番号 |
24580320
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
香川 文庸 龍谷大学, 経営学部, 教授 (10291238)
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研究分担者 |
浦出 俊和 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (80244664)
桂 明宏 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90233767)
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キーワード | 土地改良区 / 賦課金 / 小水力発電 / 多面的利用 / 複式簿記 / 水利組合 |
研究概要 |
平成25年度における本研究の主な研究実績は以下のとおりである。 (1)各小課題に関する実証分析を行うための事例地域の絞り込みをするとともに、新たな事例の開拓を行なった。小規模兼業稲作地域、借地地域の滋賀県、大規模水田農業地域、農地売買地域としての北海道、水田専業地域、借地地域の北陸に加え、小水力発電の盛んな富山県、兵庫県などを事例地域とすることを決定した。 (2)研究組織構成員が個々に、既存原研の収集とサーベイを行い、本調査研究で利活用する基礎理論、モデル、概念、方法論の理解、修得に努めた。また、それをベースとして、独自の手法・方法論の開発に着手した。 (3)土地改良区における最重要問題は賦課金負担方式の決定である。土地改良法では一枚の圃場に一人の賦課金負担者が原則であるが、それとは異なる方式も理論的にはあり得る。滋賀県の愛西土地改良区への実態調査(全員参加)を実施し、特別付加金=地権者、経常賦課金=利用者、という賦課金方式の意図と、負担者からの評価などについて情報収集した。 (4)土地改良区の経営管理を厳格化するために、従前の単式簿記ではなく、複式簿記への移行が進みつつある。簿記様式の変更による効果やそれにともなう問題点などを把握するために、全国的にみて早い段階で複式簿記に導入を開始した、新潟県五城土地改良区へ研究組織構成員全員による実態調査を実施した。 (5)小規模水田兼業稲作地域とは異なる性質を持つ地域における土地改良事業の実際とそこでの費用負担方式を把握するために、研究組織構成員全員による北海道大規模水田地帯、十勝地域畑作地帯における実態調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画は以下のようなものであった。 (1)平成24年度に実施した予備調査を踏まえ、本調査を実施しつつ、新たな典型事例を模索する。 (2)文献・資料の収集や分析を継続するとともに、研究会を実施し、そこでの討論を踏まえて、本研究で利活用する概念、モデル、分析手法などを固めていく。 (3)土地改良施設の高度多目的利用に伴う、地域住民負担に関する意向調査の準備を行う。 本年度においては、意向調査の実施はできていないが、調査実施地域の選定、意向調査の内容、質問票の設計は進んでおり、平成26年度には実施と結果の分析が行える状態にある。また、本年度は成果の公表はできていないが、次年度以降に、理論分析、実証分析に関わる成果を順次公表していく予定である。以上を踏まえ、【現在までのとうたつど】を「おおむね順調に進展している」と判断する次第である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成26年度の研究推進方策は以下の通りである。 (1)これまでの調査、討論、文献研究、資料分析の成果を踏まえ、平成25年度で確定した事例地域に関する実証分析を実施する。 (2)地域住民に対する意向調査アンケートを実施する。 (3)土地改良区の経営維持・管理と賦課金負担に関する理論的研究を経営理論、会計理論、投資理論などを組み合わせながら遂行する。 (4)以上の取り組み結果を総合し、研究成果として収斂・結実させ、論文および学会報告などとして公表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
小水力発電や土地改良施設の高度利用に伴い、地域住民に施設建設費の一部負担を求めることや、土地改良区の「準組合員」として地域住民を組み込もうとする取り組みが各地でなされている。これに対し、非農家世帯の一般住民がどのように考えているのかをアンケート調査で把握する予定であったが、これが実施できなかった。そのため、郵送費や分析に対する院生などの雇用労賃を支払わなかったため。 平成25年に実施する予定であった、上記の住民意向調査を26年度に実施することで、差額部分を使用する。26年度の予算は、従前から予定していた26年度の研究活動に使用する予定である。
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