研究課題/領域番号 |
24580320
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
香川 文庸 龍谷大学, 農学部, 教授 (10291238)
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研究分担者 |
浦出 俊和 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (80244664)
桂 明宏 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90233767)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 土地改良区 / 賦課金 / 費用負担 / 小水力発電 / 地域環境改良 / 多目的利用 |
研究実績の概要 |
平成26年度における本研究の主な研究実績は以下のとおりである。 (1)前年度までの調査事例地に対する補足調査を実施し、資料と情報収集に努めた。また、文献研究・理論研究を深め、土地改良事業に関わる合理的な賦課金負担方式についてケース別のモデル構築に努めた。さらに補足的な考察として土地改良区における複式簿記導入の問題点や複式簿記への移行に伴う留意点などについて考察した。 (2)小規模稲作兼業地帯であり、かつ、輪中、ゼロメートル地帯という特異な地理的条件を有する東海地方の土地改良事業の実態とそこでの費用負担方式に関し、資料・情報収集を行い、京都府の水田地域や比較的土地条件が恵まれている滋賀県の水田地域の費用負担方式と比較検討した。 (3)賦課金の支払い遅延問題に関わる実態を把握するために、京都府中山間地域の土地改良事業に関わる実態調査を実施した。また、京丹後市の国営開発畑における賦課金の負担方式や北海道十勝の畑作地帯の賦課金方式について資料・情報収集を実施し、水田におけるそれとの対比を試みた。 (4)土地改良施設の高度利用の一つの形態として小水力発電事業がある。小水力発電事業が盛んな地域は九州地方、特に大分県である。全国的にも有名な「富士緒井路土地改良区」、「城原井路土地改良区」、「長谷緒井路土地改良区」においてヒアリングと資料収集を実施し、発電事業の実態と問題点の把握に努めた。また、それら事例との比較検証を行うために石川県手取川七ケ用水土地改良区と富山県企業局の水力発電事業に関する実態調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、土地改良施設の高度多目的利用に対する地域住民の評価を把握し、そうした取り組みを行う際の費用負担のあり方について検討することを大きな課題の一つとしてきた。これまでに調査対象してきた事例地域において住民意向調査を実現すべく調整してきたが、調査の実施に関する合意形成を得ることができず、この作業を実施することができなかった。この点を踏まえ、【現在までの到達度】を「やや遅れている」と判断する次第である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに訪問した事例地域および新規の調査地域において地域住民の意向調査に向けた再調整を行い、調査を実施する。ただし、当初、計画していたアンケート調査の実施は断念し、複数名の住民代表者を対象としたヒアリング調査に切り替える。そこで得られた知見と、これまでの調査、討論、文献研究、資料分析の結果を収斂・結実させ、研究成果として公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
【現在までの到達度】欄で既述したように、当初計画していた「土地改良施設の高度多目的利用に対する地域住民の意向調査(アンケート調査)」を実施することができなかった。住民の意向を把握することは、本研究における重要な研究プロセスの一つであり、これまでに調査対象してきた事例地域において住民意向調査を実現すべく調整してきたが、調査の実施に関する合意形成を得ることができず、この作業を研究期間内に実施することができなかった。このため、その分の調査費用が次年度使用額として残存する次第である。なお、本研究は2015年度が最終年であるが、補助事業の期間延長申請書を提出し、2016年度に残額を使用することについて承認をいただいている。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでに訪問した事例地域および新規の調査地域において地域住民の意向調査に向けた再調整を行い、調査を実施する。ただし、当初、計画していたアンケート調査の実施は断念し、複数名の住民代表者を対象としたヒアリング調査に切り替える。残額はその際の調査費用(旅費、調査関連資材等)に充当する予定である。
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