研究課題/領域番号 |
24580324
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
磯田 宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00193392)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アメリカ農業 / 穀物セクター / 穀作農業構造 / アグリビジネス / 農業協同組合 / 多国籍企業 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究実施計画は,(1)平成24年度~26年度に収集・蓄積した米国穀物関連アグリビジネスの代表的企業の事業展開と収益基盤の情報・財務統計等を分析し,穀物か価格高騰時代に於けるその構造と動態の特質を分析すること,(2)2012年農業センサスも用いて,中西部穀作農業構造の変動と到達点について分析すること,(3)米国現地調査は米主産地である南部アーカンソー州とルイジアナ州で実施し,米国最大級の精米農協(アーカンソー州の2農協),ルイジアナ州の精米企業,それらへの米出荷農場経営の調査を行なうこと,(4)3ヵ年の調査研究をふまえた総括的な分析を行ない,結果をとりまとめること,であった。 (1)については主要企業の情報・財務統計の収集はおおむね完了しており,特に穀物価格高騰時代への移行の最大要因であるコーンエタンール産業における所有構造とそのドラスチックな再編,主要企業の特徴分析を年度末までに行なった。その成果は平成27年6月に学会発表する。(2)についても,ネブラスカ州,モンタナ州の統計分析・実態調査にもとづいて取りまとめを行ない,その主要部分を後述雑誌論文で公表した。(3)については,現地の米収穫期を回避する必要性等から平成27年3月に実施せざるを得なくなり,調査結果の取りまとめを年度内に行なうことができなかった。(3)の事情,および穀物関連多国籍企業の対外投資事業分析に遅れが生じたことから,研究期間の一年延長を申請し,承諾されたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画期間中(平成24年度~26年度)に,本研究課題申請時に予期していなかった環太平洋連携協定(TPP)交渉への日本参加と交渉の進展があり,日本,および米国を含むアジア太平洋地域の農業・食料に重大な影響を及ぼす同問題のフォロー・分析に想定外のエフォートを注力せざるを得なくなった。そのため研究計画全体に若干の遅れが生じ,平成26年度末までに,計画した研究全てを完了し,取りまとめを行なうまでに至らなかった。また前述のように平成26年度の米国現地調査を先方の事情との兼ね合いで年度末(平成26年3月)に実施せざるを得なかったことも,若干の遅れの原因となった。
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今後の研究の推進方策 |
前述のような若干の遅れをふまえて,平成27年度は,(1)平成26年度末に実施した米国アーカンソー州,ルイジアナ州の現地調査の分析・取りまとめ,(2)穀物関連アグリビジネスの事業再編・財務分析の仕上げおよびそれらによる対外直接投資の統計分析等を完了させる。それらの成果の一部を学会報告し,さらにそれを学会からの刊行書として出版する(学会としての計画)とともに,本研究課題全体の分析の取りまとめを行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
第一の自由は,想定外だった環太平洋連携協定交渉に関する研究にエフォート咲くこととなり,研究計画のうち米国穀物関連企業の構造変化・対外直接投資分析が終了しなかった。第二の自由は,平成26年度夏期に想定していた米国アーカンソー州・ルイジアナ州調査を,現地農繁期の回避と研究代表者の日程調整ができずに年度末3月に実施することになり,年度内のその取りまとめをすることができなくなった,以上のため未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
第一は,米国穀物関連企業の構造編分析を直近まで延長するため,必要な業界紙誌(Feedstuff, Milling and Baking News, Food Business News, Meat and Poultry等)の購読を延長する。第二は,米国系穀物関連多国籍アグリビジネスの対外直接投資活動分析のため,必要な書籍・統計類を購入する。第三に,第一および第二の支出が最小限に抑えられた場合は,短期間の渡米補足調査に充てる。
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