研究課題/領域番号 |
24580327
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
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研究分担者 |
角田 毅 山形大学, 農学部, 准教授 (60355261)
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キーワード | 田畑輪換 / 農法 / プラウ / 直接支払い / イタリア |
研究概要 |
本研究の目的は、東北水田地帯を対象として、プラウ耕を組み入れた田畑輪換作の新たな局面をアンケートにより定量的に把握するとともに、その導入経営を対象として農法構成要素の到達点を多角的に測定・評価することによって、ロータリーを用いた撹拌耕+化学肥料表層施用からなる「浅耕多肥農業」からの農法転換に向けた条件を明らかにすることである。H25年度は以下を行った。 第1に、山形県山形市における大規模集落営農組織(村木沢あじさい営農組合)を対 象に、田畑輪換農法の導入プロセスについてヒアリング調査を実施した。また各作物の収量及び投入についてデータ収集を行い、その導入効果に関する分析を行った。 第2に、北イタリアのピエモンテ州およびロンバルディア州における水田農業の実態調査を行った。その結果、同地域では文献によれば水稲を含めた輪作体系があったが、第2次大戦後は土壌的にも気候的にも適している水稲連作が基本とされてきた。しかし現在は、農業所得に占めるEU共通農業政策の直接支払いの比重が高くなり、それが農業経営者の作付行動に影響を及ぼしていた。今後、米への支払いが削減されると水稲作付の減少が予想される。さらに最近ではバイオガス発電振興政策によるトウモロコシの需要増で価格が上昇していることから、水稲からの作付シフトが起こっていた。このように秩序だった輪換作は限定的であることが明らかとなった。とはいえ、大型機械の体系にプラウ耕が組み入れられており、畑作と水稲作とをスイッチできる汎用機械化体系になっていることが、日本の水田農業と大きく異なっている点で、このことが農法転換にどう結びつくかが注目されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度から積み残したプラウ耕を組み入れた深耕型田畑輪換作の定量的な把握は進捗しなかったものの、その分、山形県および北イタリアにおける調査を優先させ、こちらの質的データ蓄積ならびに分析ができた。その一部を論文発表した。農法構成要素の多角的評価および「浅耕多肥農業」農業からの農法転換の条件については、引き続き事例的な調査を深め、最終年度に検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、秋田・山形県を中心に経営事例を探索する。その上で、経営事例調査を丹念に行い、プラウ耕を組み入れた田畑輪換作の導入条件の仮説を構築する。 先送りしていた田畑輪換作の定量的把握については、先行実施している事例分析を踏まえて引き続き調査票設計を行い、対象と項目を限定した郵送アンケート方式にて行う。
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