研究課題/領域番号 |
24580331
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
廣政 幸生 明治大学, 農学部, 教授 (00173295)
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研究分担者 |
岡 通太郎 明治大学, 農学部, 講師 (70402823)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フードシステム / 環境調和型農業 / 国際情報交換(韓国、台湾、ベルギー) |
研究概要 |
アジア先進国における農業・農村の共通課題の特徴を把握し、農業政策のありかたをフードシステムの観点から検討をすることを課題とし、①グローバル・ローカルの両視点、②地域の活性化戦略、③食料自給率向上、④循環型システム、⑤消費者行動の観点を分析視角としている。 当該年度は、1)食料自給率向上型の循環システムを形成している山形県遊佐町の調査を実施した。遊佐町のステークホルダー(農協、農家、行政)と生活クラブ生協との関係をヒアリング、関係構築へのプロセスについて各ステークホルダーの行動と対応について分析をした。システム解析を進め、理論モデルとしては契約理論の適用を目指しているが、目処がついた段階である。2)ステークホルダーの新しい評価指標として幸福度を検討した。幸福度についてのサーベイを行い、調査地に合致した指標作りを検討、アンケート調査を実施した。比較的高い幸福度が新知見として得られているが、要因分析は次年度に行う。3)台湾において調査を実施した。研究者、行政担当者へのヒアリングと現地調査により、日本とほぼ同様の課題(高齢化、国際化)を確認したが、経済の開放度と食に対するグローバル化の考え方に違いがあり、日本よりは輸入品に関して許容的であること、口蹄疫の関係から畜産部門が必ずしも順調で無く、循環型フードシステムが必ずしも成立していないことが判明した。国の事情をどう捉えるかについて、諸課題の共通性と相違性の背後にあるものの捉え方、消費者行動の仮説構築、農業政策の違いについての実証分析に対して、新しい観点を与えるとともに、次年度以降、分析手法等適用を検討する上で参考にすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の達成度は、概ね順調に推移している。 1)アジア先進国である、日本、台湾について農政上の共通点と相違点についての分析はまだ、十分ではないが、状況の相似、異質性を加味することの検討課題は明らかになってきた。2)国内における循環型フードフードシステムの実態調査により、成立過程とステークホルダーの行動の解明についても一定の成果得られており、幸福度を新たな指標とした検討も進んでいる。また、エサ米プロジェクトの関連性分析も進めている。4)農業農村の共通課題を解決に向かう方向性として、仲介的なステークホルダーの重要性が明確となった。特に、情報収集発信のプラットホームとして。4)Asian Passにおける日本、台湾、韓国に位置づけは本課題の前提となるが、情報収集やや不十分であるためにデータ、サーベイを含めて検討が必要である。アジア先進国の状況把握、サーベイが次年度の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
実施計画に大幅な変更は無いが、以下の点について、変更を加える。海外調査は、昨年度実施できなかった韓国について、韓国在住の研究協力者と連絡をとりながら進める。EU(ベルギー、英国)についても同様である。台湾については最終年度に向けた取組を企画する。国内調査については、当初予定していた、研究協力者のシーズンドアグリが持つネットワークに変更があったため、調査対象地を変更し新たな対象地として宮城県登米市を検討する。 国内調査は、循環型を基本として、前年に引き続き行う地域に新たに情報等の仲介者(小売業等)が行動している地域を追加する。海外調査はEU関連(ベルギー他)と韓国を加え、農業政策の新しい報告に留意しながら、情報収集に努める。分析手法等については、研究分担者、連携研究者と情報交換を密にしながら、検討を加えることで、課題達成に向け研究を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越金について、その大半は、3月末に行った海外調査の支払いに向けられ。実際の繰り越しは約10万円程度である。この繰越金は、海外(台湾、韓国)資料の翻訳に当てる予定としており、結果として、本年度の研究費の使用計画に近づく使用となる。次年度の研究費の使用は申請した計画に基づく方向で行う予定であるので、次年度研究費の使用計画に大きな変更は無い。
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