研究実績の概要 |
本研究は、環境に配慮した資源循環型社会の確立に資することを目的に、油糧作物生産が地域経済に及ぼす効果の計測、制度・政策の役割と影響に関する国際比較、効率的なバイオ燃料生産のための選別技術の開発を行った。 最終年度は全体のとりまとめを行った。概要は以下である。 1.我が国における油糧作物生産の経済効果を地域産業連関表等により明らかにした。ただ、油糧作物の生産性は諸外国と比較して概して低く、国産油生産は多くの地域で低迷したままであるため、国産油の普及には適切な栽培管理と高収量品種の開発が求められている(Nonaka,Ono(2015))。 2.日本とドイツの政策の相違・類似点を現地調査をベースにとりまとめた。バイオ燃料に関する政策は多くがEU(ドイツ)と類似していること、これまでもドイツで生じた問題は数年遅れで日本でも発生していること、それゆえドイツの政策研究が重要であることを指摘した。また、環境先進国と呼ばれるドイツではあるが、バイオ燃料生産は補助金に依存し、補助金中止が生産中止に直結している。この点に関し、特に中小企業ほど政策変更の影響が深刻であることを、バイエルン州での実態調査から明らかにした(小野ら(2015))。 3.バイオ燃料生産では燃料変換工程において多くの資材を必要とし、結果として環境負荷を排出している。これらの負荷を削減するため、ナタネ油を無変換で燃料利用するシステムを検討した。2,250時間のエンジン運転試験を実施し、無変換のナタネ油がバイオディーゼル燃料と同等の品質であることを確認した(金井ら(2015))。
|