研究課題/領域番号 |
24580337
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
澤田 守 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター農業経営研究領域, 主任研究員 (60355469)
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研究分担者 |
原 珠里 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (30355466)
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キーワード | 新規就農 |
研究概要 |
当該年度では、青年就農給付金などの就農政策の変化が、フランチャイズ型就農などの新規就農に与える影響について分析した。青年就農給付金を受給している新規就農者の実態調査結果から、青年就農給付金による年間150万円の給付金が、参入初期の経営安定に一定の貢献をしていることが明らかになった。しかし、青年就農給付金制度においては前年度の所得が250万円以上になると給付停止となることから、通常の新規参入に比べて、経営定着までの期間が短いフランチャイズ型就農の場合、給付対象外となる場合が多い。そのため、フランチャイズ型就農の場合、青年就農給付金の効果が限定的になることが示唆された。 さらに、フランチャイズ型就農方式による新規就農者の育成を図っている施設園芸経営の実態調査を行い、人材育成状況について分析した。その結果、研修段階から経営者意識を高め、計数管理を徹底させることが重要になること、新規就農者に圃場を提供し、分社化させることで、経営者能力の向上を促していることが明らかになった。 また、新規参入後の経営確立の際には、農業技術の習得、経営管理能力の向上などが重要になるため、新規就農者向けの経営管理チェックシートを作成し、新規参入者の経営管理の達成度を把握した。その結果、収量が低い新規参入者においては、栽培管理における判断・実行段階についての評価が低い傾向がみられ、人材育成にあたっては、農業知識の習得に留まらず、営農時の判断能力の向上などを促すことが重要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は、新規参入者の確保方策として、フランチャイズ型就農などについて分析し、人材育成システムの成立条件について解明することにある。当該年度は、2012年から開始された青年就農給付金制度が新規就農に及ぼす影響について分析を行うとともに、フランチャイズ型就農の実態調査と、新規参入者の経営管理の達成度調査を行うことで人材育成の状況について考察した。新規参入者の人材育成の課題を明らかにするなど、研究はおおむね順調に進展しているとすることができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでの実態調査、及び追加調査をもとにフランチャイズ型農業経営における人材育成システムの課題を整理する。さらに、関係機関への調査から、人材育成に向けた地域的な支援策について考察する。これらの結果及び、研究期間内の成果をもとに、フランチャイズ型就農を含めた新規参入者の人材育成システムの成立条件についてとりまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査候補地が大雪被害の影響などによって調査が難しくなったこと、さらに物品費について効率的な利用につとめた結果、次年度使用額が生じた。 本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画通り使用する。なお、次年度使用額399,816円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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