研究課題/領域番号 |
24580339
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
森嶋 輝也 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター農業経営研究領域, 主任研究員 (30391486)
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研究分担者 |
河野 恵伸 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター農業経営研究領域, 上席研究員 (70355478)
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キーワード | 食料産業クラスター / イノベーション / ネットワーク分析 / 国際比較 |
研究概要 |
1)クラスター形成の環境要因の国際比較:クラスター・イニシアティブが制度化されている欧州におけるクラスター形成の環境要因を明らかにするために、関根久子(農研機構・主任研究員)を連携研究者に迎えて、先進事例の現地調査を行った結果、次のことが明らかとなった。すなわち、特定産業内での相互関連性による「知識創造型」クラスターの代表例であるオランダのフードバレーは、「オープン・イノベーション」戦略により国際的なビジネス・リンクのハブとしてとして成長した。一方、ドイツ・ブランデンブルク州の複合型「地域クラスター」ZABの食料産業部門は、企業数・総売上共に成長を続けているが、ベルリンという大消費地を抱えているため域内志向が強く、グローバルな展開は進んでいない。 2)主体間のネットワーク・データ整理:①協調型=熊本県南部はデコポンや甘夏など柑橘類の大規模産地であり、その規格外品を利用した加工食品の製造も盛んな地域である。とりわけ近年は「デコポン」の商標権者でもあるJAがネットワークのハブとして農商工の連携全体をマネジメントした新製品開発が増えている。②競争型=長野県南部では古くから「市田柿」の名で全国的に流通する干し柿の生産が行われ、菓子メーカーも集積している。近年、地域団体商標の取得に伴い共同での製品開発も試みられるようになってきたが、まだ各企業独自の活動が中心である。これらの事例について、取引・提携・金融資本関係および各種団体への加入状況等のネットワーク形成状況に関するデータを収集し、整理するとともに、社会ネットワーク分析の手法に適した形式へデータの変換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であったクラスター形成環境要因の国際比較とネットワーク・データの収集・整理については行うことができた。また、同テーマに関して研究代表者と分担者がそれぞれパネリストおよび座長として参画する学会シンポジウムも開催した。そのため、研究目的の達成に向けた計画は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1)主体間のネットワーク構造の分析:今年度整理を行った二事例、熊本県南部の柑橘クラスター(協調型)と長野県南部の柿クラスター(競争型)のネットワーク・データについて、SNA(Social Network Analysis)の手法を用いてそれぞれのクラスターを構成する主体間のネットワーク構造分析を行う。そして、それらのネットワーク特性に関する結果の比較から、クラスターの類型ごとに主導的な社会関係資本のタイプを明らかにする。このようなネットワークの類型的構造とそれに特有の機能(=知識を流通させる社会関係資本)の対応関係から、イノベーションをもたらすようなネットワーク上の知識フローのメカニズムの解明を行う。 2)イノベーションの創出・導入方策:過年度遂行の研究成果(クラスター形成の環境要因の国際比較および製品開発戦略のモデル化)ならびに次年度行う予定の上記研究(主体間のネットワーク構造分析)の結果を総合し、食料産業クラスターにおける競争型と協調型の位相の違いに応じたイノベーションの創出・導入方策をマクロ(環境要因)・メゾ(ネットワーク構造)・ミクロ(製品開発モデル)の三つのレベルで明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額562,065円は、当初、海外調査同行予定であった研究分担者が急遽スケジュールの都合が合わなくなり、参加できなかったため発生した残額である。 次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。具体的には、海外を含めたネットワークデータの収集・整理に使用する予定である。
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