平成27年度については、フロックの大きさの指標である膨潤比を高い精度で評価するために、フロック沈積層にける振動沈下と構造転移の関係について調べた。試料はNaカオリナイトを用い、沈降はフロック同士の接触が起こらない自由沈降となるように固体体積濃度を低く調整した。次いで、懸濁試料の入った沈降管を横転し振動数を低周波の範囲で変化させて撹拌し、撹拌終了後に沈積した層の濃度が変化しないように静かに沈降管を立てて静置沈降測定を行なった。測定には、1/100mm精度の読み取り顕微鏡を用いた。また、自由沈降では沈降界面は見えないので、沈積面の上昇量を測定した。得られた結果は、以下の通りである。 ① フロックが変形を起こさず剛体球で近似できるとき、沈下速度は振動数に寄らないことがわかった。沈下の始点を最疎充填とすると沈下の終点は最密充填となったことから、液状沈下領域は最疎充填から最密充填であることがわかった。 ② フロックの変形が生じない限り、最密充填を超えるような堆積層は生じない。ただし、フロック変形が起こると、沈下は最密充填を越えたより密な充填構造を示す。 ③ フロックが収縮変形を引き起こすとさらに充填密度は大きくなり、最終沈下状態に近づいていく。このようなフロックの収縮変形は撹拌振動数に依存し、振動応力の特異性を示すことがわかった。
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