研究課題/領域番号 |
24580353
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 哲也 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (30434103)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 農業用パイプライン / 非破壊検査 / 土地改良施設 / AE / リスク評価 / 水理・水利用機能 / 構造機能 / リスク評価 |
研究概要 |
農業用パイプラインに代表される大規模配管施設では,地震災害や経年劣化に伴い漏水事故が頻発し,農村地域の生活・生産活動に多大な影響を及ぼす。しかし,既存施設に適用できる非破壊検査法やそれに基づく災害リスク評価法は,いまだ十分に開発されていない。本研究では,農業用パイプラインに適応した非破壊検査法の開発に基づく地震災害を考慮したリスク評価法を構築することを目的としている。研究対象は農業用パイプラインであり,既に申請者により研究蓄積のある弾性波法と電磁波法を用いた非破壊検査法を研究期間である平成24年度から26年度の3カ年間に構築し,それらの結果を踏まえた災害リスク評価法を提案する。 平成24年度は,パイプラインの非定常流況現象の水撃圧を対象に非破壊・非接触検出法を開発し,モデル試験および実構造物での検証を試みた。検討の結果,損傷の進行した既存施設において十分な精度により計測・評価可能であることが明らかになり,リスク評価へ適用可能であることが示唆された。主な研究成果は,研究図書2冊,査読付論文13報,研究報文8報および口頭発表48報(国際会議8報を含む)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の個別3課題の内,2課題については具体的進展が認められた。個別課題は,課題1「農業用パイプラインの災害リスク評価法の開発」,課題2「損傷力学理論に基づく配管材の非破壊損傷同定法の開発」および課題3「配管内流体の高精度・非破壊モニタリング法の開発」である。 平成24年度は,課題2「損傷力学理論に基づく配管材の非破壊損傷同定法の開発」において,既存施設から採取した配管材の大型破壊試験による実証研究を実施し,特異な破壊形態から評価パラメータを提案した。課題3「配管内流体の高精度・非破壊モニタリング法の開発」では,混相流と水撃圧を対象に新たな非破壊検査法を開発し,モデル試験と実構造物による検証を行い,開発手法の有効性と技術的課題を明確にした。 平成25年度は,これら平成24年度成果を踏まえて課題1である災害リスク評価法の構築を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究展開は,平成24年度末に購入した赤外線サーモグラフィ装置を利用して,熱特性の観点から農業用パイプラインシステムの損傷特性を抽出することを試みる。特に,水管橋や斜面工,付帯工など露出した施設に関する検討を進め,野外環境に設置された既存施設の経年的に累積した損傷を明らかにする。その結果を踏まえて,平成24年度に検討した弾性波による配管系診断との融合による災害リスク評価法の構築と高度化を試みる。 具体的検討の進捗状況は,管理者との計測工程の打合せは完了し,平成25年度初頭に計測を実施できる状況にある。計測,実験および解析に関する外部機関との調整は,完了しており,研究進捗の加速化が期待できる状況にある。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費使用計画は,平成24年度の検討結果を踏まえて既存施設による現地計測を実施する(調査費計上済)。その結果の解析的検討には購入を計上している一連の解析ソフトを活用し、効果的かつ効率的な研究開発を推進する。なお,平成24年度末に購入した赤外線サーモグラフィ装置は支払いが4月になったことから,平成25年度に計上する。
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