農業用パイプラインに代表される大規模配管施設では,地震災害や経年劣化に伴い漏水事故が頻発し,農村地域の生活・生産活動に多大な影響を及ぼす。しかし,既存施設に適用できる非破壊検査法やそれに基づく災害リスク評価法は,いまだ十分に開発されていない。本研究では,農業用パイプラインに適応した非破壊検査法の開発に基づく地震災害を考慮したリスク評価法を構築することを目的としている。研究対象は農業用パイプラインであり,既に申請者により研究蓄積のある弾性波法と電磁波法を用いた非破壊検査法を研究期間である平成24年度から26年度の3カ年間に構築し,それらの結果を踏まえた災害リスク評価法を提案した。研究実績は,閲読付論文31報,報文11報,口頭発表(国内)66報および口頭発表(国際)12報である。主な研究業績は,極度に損傷が進行した構造材料の物性値をAE(Acoustic Emission)とX線CTにより可視化・定量化するための方法論を開発し,蓄積された損傷と物性との関係を明確にした。そのことを前提に災害発生時および発生後の損傷度の定量評価方法を提案し,災害リスク評価における評価指標とした。
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