本研究は、新潟県越後平野の低地水田地帯の農業用水路において、植物の出現特性を把握した。第一に、構造と機能によって、土水路・コンクリート水路、末端小水路・支線中水路、用小・排水に分類した。それらの違いが水路内に出現する植物の種数と種組成に与える影響を明らかにした。第二に、これらタイプが異なる農業用水路における水湿生植物の多様性と組成を比較した。第三に、ベイズ統計によって景観スケールでの土地履歴・地形・流域の違いが水湿生植物の出現に与える影響を分析した。これらの結果をもとに、希少な浮葉植物や沈水植物が唯一生育できる土水路を保全するための望ましい農業用水路管理のあり方を提言した。
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