研究課題/領域番号 |
24580362
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
石田 聡 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (30414444)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 淡水レンズ / 揚水 / アップコーニング / ラドン / 地下水 |
研究概要 |
深度別揚水技術の有効性を明らかにし,実験室内によって淡水レンズの挙動を測定するため,高さ1.0m,長さ2.2m,幅0.8m大型実験水槽内に豊浦標準砂を充填し,槽の両端から塩水を,上側から降雨発生装置によって淡水を供給し,淡水レンズを発生させる実験システムを構築した。 また,単一の井戸内において塩淡境界面の上部(淡水域)および下部(塩水域)で同時に揚水を行い,両者の地下水ポテンシャル(局所的な地下水圧)差をゼロにすることによって,塩淡境界を乱さず継続的な揚水を可能にするための揚水装置を設計した。揚水装置は,井戸内に止水性の仕切り(空気パッカー)を設け,その上下にそれぞれ水中モーターポンプ(揚提20m)および圧力・電気伝導度センサー(ロガー付き)を設置することとした。空気パッカーは農村工学研究所内の井戸で実験を行うことを想定し,径100mmの保孔管に対応する設計とした。併せて,小型流量センサーおよびデータロガーを用いて,揚水した地下水の流量を記録する装置を設計・製作した。また,揚水試験で使用する予定の井戸について,地下水中のラドン濃度を一週間毎に測定した。測定深度は地下水面直下(深度10m弱),深度15m,深度20mとした。ラドン濃度は各深度で10Bq/L前後で推移したが,秋から冬にかけて水面直下の濃度が5Bq/L以下に低下した。 さらに,淡水レンズが発達しており,かつ過去に過剰揚水による地下水の塩水化が発生した島嶼(沖縄県多良間島,マーシャル諸島共和国ローラ環礁ローラ島)をモデル調査地に選定し,淡水レンズ中の塩淡境界の動態を把握するため,現地の地下水観測孔に電気伝導度計を設置した。多良間島による観測では,9月末の台風通過によって淡水レンズ厚が最大1.6m上昇したことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置の構築、揚水装置の設計、現地調査の実施等、それぞれの研究課題について研究開始時の予定どおり進捗したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に作成した室内実験装置を用いて淡水レンズ再現実験を行い,模擬帯水層内の塩分濃度分布を測定する。また前年度に設計した揚水装置を作成し,研究所内の井戸に設置して揚水試験を行う。試験ではパッカー上部,下部それぞれの揚水量を変化させ,揚水中のラドン濃度を測定する。測定結果より装置の評価を行うとともに,必要な改良点を明らかにする。また現地調査によってモデル調査地の淡水レンズの動態を把握し,降雨に対する淡水レンズの応答特性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
モデル調査地(沖縄県多良間島,マーシャル諸島共和国ローラ環礁ローラ島)における現地調査旅費,揚水装置の製作・改良(パッカー・測定機器等の物品および組み立て役務),室内実験実施に係る人件費・物品等に使用する予定である。
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