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2014 年度 実績報告書

帯水層の塩水化を抑止する地下水揚水手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24580362
研究機関独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

石田 聡  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所資源循環工学研究領域, 上席研究員 (30414444)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード淡水レンズ / 地下水 / 二重揚水 / 水質保全 / アップコーニング / マーシャル諸島
研究実績の概要

深度別揚水装置をシステム化した。止水装置は空気パッカーとし,パッカー上下にそれぞれ水中モーターポンプ,水圧センサ,温度・電気伝導度(EC)センサを配した。揚水量は電磁流量計によって測定し,揚水する地下水のECを確認しながら揚水強度を調整する方式とした。このシステムで揚水を行った結果,パッカー上下のEC,pH,DO,ORPの差が揚水期間中保たれることを確認した。また,パッカー上段のみ,パッカー下段のみで揚水を行った場合においても,揚水を行っていない側の水位に変化はないことを確認した。これらの結果は,作成した装置により2深度の地下水を別々に揚水することができることを示しており,塩淡境界を持つ帯水層に設置された井戸において,パッカーを塩淡境界深度に合わせれば,アップコーニングを抑止する揚水が可能であると考えられた。
また,昨年度までに構築した地下水流動モデルを用いて二重揚水技術のシミュレーションを行った。その結果,塩淡境界がシャープであれば塩水域と淡水域の混合は抑止できるが,汽水域が厚く存在する場合は,淡水域のポンプと塩水域のポンプを離す必要があることが明らかになった。この対処法として,短いパッカーを複数設け,汽水域の上部(淡水域)と汽水域の下部(塩水域)にそれぞれポンプを設置する方法が有効と考えられた。
帯水層の塩水化が顕在化しているマーシャル諸島共和国ローラ島における現地調査では,観測孔におけるEC測定および物理探査によって,ローラ島における淡水レンズ賦存量を明らかにした。これらの調査結果は現地で開催した淡水レンズ地下水保全に関するセミナーにて、関係行政機関担当者等に周知した。
以上,研究期間全体の成果をとりまとめ,本研究で開発した二重揚水技術について特許を出願した(平成26年10月)。また研究成果を簡潔にとりまとめプレスリリースを行い,web媒体や新聞等に掲載された。

備考

2015年3月24日プレスリリース。関連記事がJSTサイエンスポータルに掲載。
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2015/03/20150325_02.html
他,農業共済新聞,日刊工業新聞等に掲載。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] 帯水層の塩水化を抑制することができる単孔式二重揚水技術2015

    • 著者名/発表者名
      石田 聡・白旗克志・土原健雄・吉本周平
    • 雑誌名

      平成26年度農村工学研究所成果情報

      巻: 平成26年度 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 帯水層の塩水化を抑止する深度別揚水手法2014

    • 著者名/発表者名
      石田 聡・白旗克志・土原健雄・吉本周平
    • 雑誌名

      地盤工学会誌

      巻: 682/683 ページ: 36-37

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] マーシャル諸島共和国マジュロ環礁ローラ等における淡水レンズに関する数値シミュレーション2014

    • 著者名/発表者名
      幸田和久・小林 勤・石田 聡・吉本周平
    • 雑誌名

      地盤工学会誌

      巻: 682/683 ページ: 30-33

    • 査読あり
  • [学会発表] マーシャル諸島共和国マジュロ環礁ローラ島の淡水レンズの状況2014

    • 著者名/発表者名
      幸田和久・小林 勤・石田 聡・吉本周平
    • 学会等名
      平成26年度農業農村工学会大会講演会
    • 発表場所
      新潟市(朱鷺メッセ)
    • 年月日
      2014-08-25 – 2014-08-27
  • [備考] 地下水質を保全する二重揚水技術を開発

    • URL

      http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nkk/056963.html

  • [産業財産権] 地下水揚水システムおよびそのシステムを用いた揚水方法2014

    • 発明者名
      石田 聡・白旗克志・土原健雄・吉本周平
    • 権利者名
      国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2014-212060
    • 出願年月日
      2014-10-16

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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