研究課題
平成26年度は、農産施設内の空中浮遊菌の殺菌に、本研究で開発したラボスケールの電気集じん技術および水中殺菌技術(浮遊菌混入空気を水中にトラップさせ光触媒とUVライトで殺菌)が適応できるか、実機試験を行った。具体的には、電気集じん装置、水中殺菌装置および空気吸引装置を農産施設内にタンデム配置し、それをバイオエアロゾルリッチな環境下で稼働させ、電気集じんによる粒子捕集率や空中浮遊菌捕集率、併せて水中殺菌処理による殺菌効率を計測した。その結果、電気集じん処理は流入空気内のほとんどの浮遊粒子を除去でき、空中浮遊菌も大きく減少させた。また光触媒を用いた水中殺菌処理は、流入空気内の浮遊菌濃度を検出限界値以下まで殺菌した。併せて平成26年度は、紫外線照射(UVC)とカビ胞子の不活性化との関係を測定・検討した。Aspergillus nigar 胞子を用い、その不活性化に要する積算紫外線照射量の水分活性依存性を測定するとともに、胞子が接種されたリンゴをモデル農産物として、その病斑形成を抑制する紫外線照射エネルギを計測した。その結果、カビ胞子の不活性化に要する紫外線照射エネルギは水分活性に影響されないこと、また1平方cmあたり1.62 Jの紫外線を照射すればリンゴ表面のカビ胞子由来の病斑形成を完全に抑制できることが明らかとなった。すなわち、農産施設内の農産物表面を極めて短い時間紫外線照射すれば、農産物のカビ腐敗・汚染を水分活性の高低に関わらず抑制でき、よって農産物由来の空中浮遊菌の発生・増加を防止できることを示した。以上、本研究では農産施設内の浮遊菌の濃度と公衆衛生学的評価を行うとともに、バイオエアロゾルリッチな施設内空気の殺菌を目的として新たに電気集じん技術や水中殺菌技術を開発した。これら殺菌技術は、今後ポストハーベスト空間での実用化が大いに期待できる。
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Proceedings of the 7th International Symposium on Machinery and Mechatronics for Agriculture and Biosystems Engineering (ISMAB)
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