研究課題/領域番号 |
24580370
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
谷野 章 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (70292670)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / 太陽光発電 / 太陽電池 / 温室 / 園芸施設 |
研究概要 |
1)粒状太陽電池セルの設置密度と発電エネルギーおよび遮光量の関係の計算 屋外の太陽光下では,粒状太陽電池セルの明半球には直達光および散乱光が入射し,暗半球には散乱光のみが入射する.これらの入射光の放射照度と明側,暗側それぞれの太陽電池セル表面積との積に太陽電池セルの発電効率を乗じて電力を計算した.さらに,太陽電池セルの設置密度を乗じて太陽電池モジュールあたりの電力を求めた.電力を光照射時間で積分して発電エネルギーを算出した.次に,粒状太陽電池セルを温室屋根面に分散配置した場合に,温室内の任意の地点の植物が受ける日射を計算する方法を考案した.特定のモデル温室に特定の密度で太陽電池セルを分散配置する場合に,温室内の植物が年間にわたって受ける直達光と散乱光の和を計算した. 2)粒状太陽電池を用いた試作小型シースルー太陽電池モジュールの評価試験 直径1.8 mmの粒状Si結晶太陽電池セルを用いて試作した97 cm2の小型のシースルー太陽電池モジュールの特性評価試験を実施した.この太陽電池セルはp型半導体の内球とn型半導体の外殻から構成され,それぞれに接触する電極から電力を取り出す構造である.この小型太陽電池モジュールは全方位からの入射光で発電するので,温室屋根面への装着を考えたとき,天空からの日射と地面や作物で反射した日射の両方を発電に利用できるという大きなメリットがある.この太陽電池セルは可視光~近赤外で発電するため,地面や植物で反射した後の長波長寄りの光も有効に電力に変換する.このことは,東西棟の北屋根面で発電するときに,特に有利な特性である.試作小型太陽電池モジュールを用いて自然光下で発電実験を行い,測定値を計算値と比較した. これらの成果を取りまとめて平成25年度の関連国際会議で発表するためにabstractを投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)粒状太陽電池セルの設置密度と発電エネルギーおよび遮光量の関係の計算 屋外の太陽光下では,粒状太陽電池セルの明半球には直達光および散乱光が入射し,暗半球には散乱光のみが入射する.これらの入射光の放射照度と明側,暗側それぞれの太陽電池セル表面積との積に太陽電池セルの発電効率を乗じて電力を計算した.さらに,太陽電池セルの設置密度を乗じて太陽電池モジュールあたりの電力を求めた.電力を光照射時間で積分して発電エネルギーを算出した.次に,粒状太陽電池セルを温室屋根面に分散配置した場合に,温室内の任意の地点の植物が受ける日射を計算する方法を考案した.特定のモデル温室に特定の密度で太陽電池セルを分散配置する場合に,温室内の植物が年間にわたって受ける直達光と散乱光の和を計算した. 2)粒状太陽電池を用いた試作小型シースルー太陽電池モジュールの評価試験 直径1.8 mmの粒状Si結晶太陽電池セルを用いて試作した97 cm2の小型のシースルー太陽電池モジュールの特性評価試験を実施した.この太陽電池セルはp型半導体の内球とn型半導体の外殻から構成され,それぞれに接触する電極から電力を取り出す構造である.この小型太陽電池モジュールは全方位からの入射光で発電するので,温室屋根面への装着を考えたとき,天空からの日射と地面や作物で反射した日射の両方を発電に利用できるという大きなメリットがある.この太陽電池セルは可視光~近赤外で発電するため,地面や植物で反射した後の長波長寄りの光も有効に電力に変換する.このことは,東西棟の北屋根面で発電するときに,特に有利な特性である.試作小型太陽電池モジュールを用いて自然光下で発電実験を行い,測定値を計算値と比較した. これらの成果を取りまとめて関連国際会議で発表するためにabstractを投稿した. 以上の研究実績は,ほぼ申請書作成時点の計画通りである.
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今後の研究の推進方策 |
1)改良大型シースルーモジュールの試作とガラス温室への装着および発電量と遮光量の計測 前年度試作した小型モジュールの実測データおよびシミュレーション結果を根拠として,適切なセル密度を決定し,ガラス温室のガラス1枚分に相当する0.5 m2規模の大型シースルーモジュールを試作する.このモジュールをガラス温室にはめ込み,実際のガラス温室で発電量および遮光の実測データを得る. 2)実測値に基づく計算式の補正 前年度に導出した計算式と改良大型シースルーモジュールの実測値を比較して計算式の補正を行う.具体的には,日射の大気透過率およびガラス透過率,直達光のモジュールへの入射角度特性,アルベドなどが主な補正係数になる. 3)実規模ガラス温室への計算の拡張 温室全体または特定の面にシースルーモジュールを拡張したと仮定し,発電量と遮光量の瞬時および年間積算値を計算する.この時,温室の形状,向き,立地緯度をパラメータとする.温室の冷暖房機,ポンプ,ファン,照明などの負荷を1日あたり何時間運転できるかという実例も示す. 得られた成果を順次国内外の学会で発表するとともに,学術誌に投稿する.
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度終盤に製作に着手した改良大型のシースルー太陽電池モジュールは,製造プロセスで予想以上の困難に直面している.24年度中に完成するつもりで費用を確保したが,結局前年度中の完成にはいたらず,その費用を持ち越した.現在もそのモジュールの製造に取り組んでおり,25年度中には,完成させるつもりである.持ち越した費用はその支払いに充てる.製造プロセスの困難を克服するために,素材の改良等を行っているため,申請当初の計画書で推定したモジュールの金額を超える可能性があるが,25年度の予算計画としてもモジュールの試作費を計上しているので,研究の実施に支障はない.
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