研究課題
メタン発酵消化液は植物に必要な栄養素を多く含むが,養液栽培の培養液として用いると,液中の高濃度のアンモニアや高いpHが植物の成長抑制の要因となりうる。異なる植物体をつなぎ合わせる接ぎ木は,台木の根部が有する病害耐性や栄養吸収能力を利用して穂木の生産性を向上させる技術であることから,消化液を利用した養液栽培時における養分の吸収が接ぎ木により改善できる可能性がある。さらに,メタン発酵消化液中のアンモニアを硝酸に転換して,アンモニア濃度およびpHを低下させることも植物における養分吸収の改善に有効であると考えられる。そこで,①穂木用キュウリと台木用カボチャ5品種による消化液を用いた養液栽培実験および②亜硝酸細菌および硝酸細菌によるメタン発酵消化液の連続生物酸化実験を行った。栽培実験では,消化液区の乾物重は化学肥料を使用した区に比べていずれの品種でも減少したが,その減少率は消化液区における発根数が多く根乾物重が大きいときに小さい傾向が見られた。生物酸化実験では,アンモニアの硝酸転換に伴い消化液中のアンモニア濃度が減少しpHが低下した。この改質消化液を用いたキュウリならびにトマト養液栽培では,植物の生育が劇的に改善した。これより,接ぎ木および消化液改質の双方において,消化液を用いた養液栽培での植物の養分吸収能力の改善が可能であることがわかったが,その効果は消化液改質処理のほうが大きいことがわかった。
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