農業への太陽光発電の応用として、ハウス下の農作物への必要な光量をコントロールして確保しながら太陽電池の発電量を最大化できる農業用ハウス屋根型太陽光発電システム技術の確立する目的で研究を進めてきた。3年目の平成26年度の研究実績は次の通りである。 ①円筒型太陽電池下の透過光と反射光の制御用に適した反射率の高い寒冷紗を選定した。その反射率の高い寒冷紗を用いて、夏季だけでなく、冬季においても発電量を増加させることが可能であることを確認した。 ②円筒型太陽電池下に水耕栽培装置を用いて、寒冷紗の有無による野菜(小松菜)の生育における影響を確認する実験を行った。5月、7月と2回実験を実施したが、2回とも台風等の強風による影響で生育資料数が大幅に減ることとなったが、寒冷紗の有無による生育の違いは確認できた。結果的に、円筒型太陽電池下で寒冷紗を常設すると生育の遅れが顕著となった。このことにより透過光を動的に制御する必要性が確認できた。 ③既に開発済みの気温・湿度・日射量ロガーに加えて、円筒型太陽電池下に照射される太陽光を制御する為、円筒型太陽電池の陰で縞模様に透過する太陽光の平均照度を測定可能な安価な面照度ロガーを開発した。 ④円筒型太陽電池下において寒冷紗を自動で開閉する装置をカーテンレール、DCモータ、Arduinoを用いて安価な装置を開発し、基本動作を確認した。 ⑤平成25年度および26年度前半の研究成果を、第73回農業食料工学会年次大会(2014)、2014年度農業施設学会大会、2014年度SICE四国支部学術講演会にて発表した。また、太陽電池関連のセミナーやフェアーに参加し、引き続き最新の太陽電池情報の収集を行った。
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