研究概要 |
供試材料として,稲,ムギ,ナタネ,ヒマワリの収穫残さに加え,マツヨイグサ類雑草,ヒルガオ科雑草,ダイズ収穫残さ,トマト廃苗,キュウリ廃苗等を用い,発熱量,灰分等の熱的物性を測定した。 溶融状況の調査方法については,JIS M8801に準拠して,試験材料を灰化したものを三角錐に成型し,マッフル炉内で加熱し,変化の様子を観測した。また,予備試験の結果,1,100°C以下で溶融していたサンプルについて,示差熱熱重量同時測定装置(sii TG/DTA6200)により,試料の示差熱を測定した。試料はあらかじめ灰化しておき,室温から850°Cまでは50°C/minで,850°Cから1,000°Cまでは5°C/minで昇温させた。 成分分析については蛍光X線分析装置で行った。材料は105°C/24hで乾燥後,ミルで粉砕・調製し,試料容器(φ32mm,8mL)に,ポリプロピレンフィルムで封入したものを,測定試料とした。測定はFP法とし,試料のバックグランドをセルロースと設定して他の元素について測定した。 溶融試験の一例として,コムギ残さでは,940°Cで軟化した後,1,050°Cで融点となった。1150℃では完全に溶流した。同じサンプルをTG/DTAで測定したところ,融点付近でDTA曲線に緩やかな吸熱ピークが見られたが,その他の温度帯でも見られており,まだ不明な部分があった。 発熱量の実測値と,1)灰分量から発熱量を推定する式(文献値)から求めた発熱量と,2)蛍光X線分析装置による灰分量算出値から求めた発熱量を比較して,本手法での発熱量の推定精度を検討した。サンプルのうち最も誤差の小さかったアシでは,その誤差は+6.3%であったが,ヒマワリでは+31.6%であった。傾向的には,全体的に推定値のほうが実測値よりも高い値を示した。
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