本年度は、昨年までに開発したロボットボートの実証試験を行った。また、さらに小型のボートを開発し、市販の3次元スキャナーによるマッピングシステムの構築を行った。 実証試験は、北海道足寄郡足寄町の阿寒国立公園内のオンネトーにて行った。この湖は、周囲長2.5 km、0.23 km2の酸栄養湖である。魚類は見られないが、外来種のウチダザリガニの増加が問題となっている。火山性の温泉の水が流れ込むことから、酸性を呈しているが、近年徐々に中性化していると言われている。これまで、水深図が作られていないため、ロボットボートによって50 m間隔でソナーによる水深調査を行った。また、表面水の水質を調べるため、水質センサによって、50 m毎に測定を行った。その結果、約6時間で、湖全体の調査をすべて自動航行によって行う事ができた。前年度は全航行時間が2時間だったので、3倍の時間、稼動可能な事が確認できた。全航行距離は10.1 kmで、各水質サンプリングポイントに対する測定位置の誤差は平均で3.4 mであった。GISソフトによって、水深マップ、pHマップ、ECマップ等を作成した。pHマップより、この湖は、全域にわたってpH7以上で、中性化が進んでいることがわかった。 マッピングシステムについては、Microsoft社から販売されているKinect V2というセンサを使って、3次元マップを取得するシステムを開発した。このセンサは、8 m先までの距離を30 Hzで面的に取得することが可能である。晴れた日の屋外において、移動しながら植物や人工物を撮影した結果、距離計測が適切に行われることより、使用に耐えうることが判明した。そこで、これまでのロボットボートにこのセンサを組み込み、連続的に3次元データが保存できるようなシステムを構築した。
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