①農産物の光沢とハレーションの関係:照明装置と撮影装置の前面に偏光フィルタを備える撮影装置を試作した。両方の偏光フィルタを光学的に直行する位置に調整すると、農産物内部(ごく表層も含む)で再偏光された光だけを撮影することが出来るため、鏡面反射光が主な発生原因と考えられるハレーションを抑えた高品質画像を取得することが出来る。本撮影装置の比較対象として、拡散板、反射ドームを用いた撮影装置を用意し、光沢具合の異なる様々な農産物を撮影した。その結果、拡散板や反射ドームを使用して光沢の高い農産物を撮影した場合はハレーションが観察されたが、偏光フィルタを使用した場合は農産物の光沢にかかわらずハレーションが観察されず、本手法によって農産物の高品質画像が取得できることが明らかとなった。 ②屋外環境における偏光フィルタの効果:天板に偏光フィルタを装着し、横面を暗幕で覆った、縦横高さそれぞれ1mの撮影ボックス内で、強い光沢を持つコーヒーの鉢植えを撮影した。その結果、光源を太陽に依存し光環境が一定しない屋外環境においても、偏光フィルタによるハレーション削減効果が確認された。また、撮影ボックス横面の暗幕を引き上げながら撮影を行ったところ、暗幕の下部1/2を開放した場合でも、品質の高い画像を取得できることが明らかとなった。 ③偏光フィルタの必要位置決め精度:撮影装置側の偏光フィルタの設置角度をモータで任意に指定できる撮影装置を試作し、各種農産物を撮影した。最もハレーションの少ない位置からフイルタを回転させ、角度変化とハレーション領域のSaturation、および目視におけるハレーション領域の変化の関係を調べた。最良の位置からSaturation値から10%低下した時に、目視によってハレーションが確認され、トマトでは約10°、イモでは約35°であった。
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