近年、抗生物質に代わる天然由来の機能性を有する物質が探索されている。ニンニク球根は伝統的な生薬であるが、ニンニク茎葉は経済的価値がなく、廃棄されている。そこで、飼料としての有効利用を目的とし、ヒツジにおける飼料消化性、栄養素代謝および内分泌調節をin vitro、in vivoにより解明しようとした。 【in vitroの実験】実験区としてニンニク茎葉区(GL区)と粉砕ニンニク球根区(GB区)を設定し、GL区は粗飼料の0、3、6、12、24%のニンニク茎葉を添加し、GB区は0、1、2、4、8%とし、これらの飼料をナイロンバッグに封入して48時間培養した。培養液pH、総揮発性脂肪酸(VFA)産生量、アンモニア態窒素は4日目以降に大きな差が見られなかった。4日目以降総VFA産生量は実験区の間に差は見られなかった。 【in vivoの実験】ヒツジ6頭を用い、維持エネルギーの120%の乾草を給与した対照区と給与量の10%をニンニク茎葉で代替した実験区を設定した。窒素出納、第一胃発酵性状を測定した。さらに、同位元素希釈法およびグルコースクランプ法を実施し、血漿グルコース、ロイシンの代謝回転速度およびインスリン作用を測定した。 尿中窒素排泄量は実験区で高く(p<0.05)、窒素保持量は低かった(p<0.05)。第一胃内pH、アンモニア態窒素濃度および総VFA濃度は飼料間に差がなかった。下部消化管への微生物態窒素供給量は実験区で高かった(p<0.05)。血漿ロイシン代謝回転速度は実験区が高かった(p<0.05)が、血漿グルコース、ロイシン代謝回転速度およびインスリンに対する組織の反応性は飼料間に差がなかった。 以上の結果より、in vitroの実験ではニンニク添加の影響は明確ではなかったが、in vivoではニンニク茎葉は第一胃内発酵性状および血漿グルコース代謝を損なうことなくタンパク質代謝を亢進することから、飼料として利用可能であると示唆された。
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