研究課題/領域番号 |
24580388
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
下里 剛士 信州大学, 農学研究科, 准教授 (00467200)
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研究分担者 |
米倉 真一 信州大学, 農学部, 助教 (40443113)
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キーワード | オリゴ核酸 / ODN / iODN / ナノカプセル / マイクロカプセル |
研究概要 |
微生物のゲノム配列に由来するオリゴ核酸(ODN)は、感染症の予防やアレルギーの予防など優れた免疫機能が期待される次世代の機能性素材である。免疫機能性ODNには、「免疫増強型(CpG ODN)」と「免疫抑制型(inhibitory ODN, iODN)」が知られている。免疫増強型は、抗体産生能力を高める作用があり、ワクチンアジュバントとして研究が進められている。免疫抑制型iODNは、CpG ODNの受容体として知られるTLR9の細胞内シグナリングを阻害することが知られている。しかし、研究代表者らの研究グループは、昨年iODNの2次構造モデルと免疫機能性の関係を明らかにするとともに、Th2型免疫応答を強く抑制するiODN(iSG3と命名)を発見した(Ito et al., FEBS Open bio 2013)。そこで平成25年度は、「経口摂取により免疫機能性を発揮するODN素材を提案したい」というアイディアに基づき、CpG ODNとiSG3の経口投与試験を計画した。ODNの経口デリバリーシステムとして、ODNカプセル化技術を用いた。すなわち、CpG ODNをカプセル化したCpGcapと同じくカプセル化iSG3(iSG3cap)を、疾病モデルの一つとしてアトピー性皮膚炎モデルマウスに長期連続経口投与し、アレルギー性皮膚炎の発症に与える影響について検証した。その結果、CpGcap群は、NA(無投与)群、Cap(カプセル単独)群と比較して、激しい皮膚炎を誘導し、アレルギー症状を悪化させた。一方、iSG3cap群は、すべての試験で優れた抗アレルギー効果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の2年次は、ODNカプセル(ODNcap)のin vivo経口投与試験を進めるとともに、アレルギーモデルマウスにおける機能発揮の有無について調査することを最大目的とした。当初1年半かかることを想定していたin vivo試験は順調に終了し、あとは生体内におけるODNcapの挙動、機能発揮機序を明らかにすることが課題として残っている。研究計画は、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ODNcapのアレルギーモデルマウス経口投与試験において、免疫増強型CpGcapと免疫抑制型iSG3capが全く逆の結果が得られた。この発見を、生体内における細胞分子レベルで明らかにすることが26年度の目的となる。具体的には、ODNcapの短期投与試験を実施し、生体内とくに腸管リンパ組織や脾臓組織における免疫関連分子の発現・抑制解析を進める。以上の研究成果については、速やかな発表(原著論文発表・学会発表)につなげてゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養試験によるオリゴ核酸カプセルの免疫機能性解析が平成26年度にずれ込んだため、残額(118,295円)が発生した。 オリゴ核酸カプセルの免疫機能性解析では、ターゲット分子をIL33、IL17AおよびIL17Fに絞り、25年度残額(118,295円)からIL33抗体を購入し、加えてIL17AとIL17F抗体と細胞内シグナリング関連抗体(約30万円)を購入する。実験用動物(マウス)購入費=約20万円、動物飼育・管理費(餌代、床敷代、ケージ、水筒など購入費)=約20万円とする。また、オリゴ核酸カプセル合成費=20万円とする。そ の他消耗品(試薬、抗体、プラスチック消耗品など)=40万円とする。研究成果発表(学会発表)旅費=10万円とし、計150万円/平成26年度の研究費使用計画とした。
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