研究課題
オリゴDNA(ODN・短いDNA断片)は、感染症の予防や抗アレルギー作用など優れた免疫機能が期待される機能性分子素材として知られている。しかしながら、ODNは経口的に摂取すると、胃酸や消化酵素の影響により分解されてしまうという弱点があり、これまで経口投与による試験はほとんど行われていない。本研究では、「食べる核酸」の実現に向けて「経口摂取により免疫機能性を発揮するDNA素材を提案したい」というアイディアに基づき、ODNをカルシウム性ナノ粒子に包摂する手法の構築に取り組んだ。主な成果として、ODNを50-200 nm程度のカルシウム性ナノ粒子に包摂する手法を確立し、胃酸耐性DNAナノカプセル(DNanocap)の開発に成功した。また、DNAナノカプセルが腸管免疫組織に到達し、免疫機能を発揮することを証明した。さらに、強力な免疫抑制機能を有するDNAナノカプセルを用いてアトピー性皮膚炎モデルマウスへ経口投与試験を実施し、皮膚におけるアレルギー性炎症反応が抑制されることを発見した。本研究で示したDNAナノカプセルによる経口デリバリーシステムは、シンプルかつ低コストであることから、優れた腸管DSS手法の一つとして医薬分野のみならず、機能性食品や家畜飼料の開発分野において注目される成果である。以上の成果は、学術論文として米国遺伝子治療学会の機関誌に発表し、特集論文に選定された(Molecular Therapy, 23(2):297-309, 2015.)。
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Molecular Therapy
巻: 23 ページ: 297-309
10.1038/mt.2014.239.
http://karamatsu.shinshu-u.ac.jp/lab/shimolab/cn21/index.html