研究課題
生産現場に主眼を置いた家禽の増体変化は、飼育環境や効果的な飼料給餌などの環境要因への適応性を評価できる優れた指標として世界中で利用されており、飼料や添加物の安全性評価を判定する上でもっとも簡便な指標として活用されている。一方、家禽における増体効果を導く作用機序の解明は、栄養吸収の機能性評価を行う為の消化率算出や、呼吸商算出など煩雑な研究が必要とされ形態学的な評価は大変難しい。そこで、本研究では、腸管内におけるケミカルセンサー(転写因子AP2α等)の挙動(腸陰窩領域で増加する)に注目し、簡便に評価可能な解析法確立を目指し、最終年度は、作用機序解明を目指してきた取り組みを行ってきた。腸上皮組織は、腸上皮を構成する細胞と細網線維で満たされた細胞間質により保持され、非常に早いサイクルで上皮表面での栄養成分取り込みと組織全体のリモデリングが行われる。一方、腸管上皮における物質の取り込み様式は、十分に解明されていない。そこで、摂取後の飼料やその機能性成分の動態解析や可視化をめざした研究へと発展させるために、 FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)、Laser Raman spectroscopy、MALDI-TOF/MS (マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析) に搭載されたイメージング機能を用い、腸管組織上でコラーゲン等を構成するアミノ酸質量に注目し、組織上でのアミノ酸マッピングを作成し「栄養成分のみえる化」を成功させた。家畜が獲得した消化栄養吸収機能に注目することで、遺伝要因と環境要因の相関理解を目指すことも可能となり、腸管上皮組織中に観察される網目状構造、細網細胞(reticulum cell)やその構造を支える結合組織、散在する基質と組織液(reticular fibers, made of type III collagen)への影響について纏めている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)
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