予備分析として、THI式に入力する変数、気温と湿度について、1.両者とも1日の平均値、2.最高気温と最低湿度、3.両者とも最低値、4.最低気温と平均湿度を比較した。その結果、初産日齢(AFC)については3のTHI、分娩間隔(CI)については2のTHIを採用した。次にSAS/GLM(一般線形モデル)分析による分散分析を行った。分析の結果、初産日齢では授精9日から3日前および授精後29日から31日の期間において、THIは高い有意性を示した。複数の日におけるTHIを同時にモデルに含めた分析により、授精7日、2日前および31日後のTHI(いずれも2次まで)を共変量とした。一方、分娩間隔ではCI1(第1分娩間隔)が受精3日前および受精後33日目、CI2(第2分娩間隔)では受精20日前および受精後3日目、45日目、CI3(第3分娩間隔)では受精前25日目、17日目、12日目、8日目のTHIに対する(1次及び/または2次)偏回帰係数で有意性が示された。初産日齢補正値(父牛、農家および授精年の最小2乗平均値で補正)に対する区分回帰分析により、授精7日、2日前および31日後のTHI閾値は、それぞれ69.0、61.4、62.9であった。CI1に対するTHIの反応性をみると、統計的に有意な日は、授精日3日前と33日後の2日間であった。授精日3日前には、THI79.0まではTHIの上昇に伴い、分娩間隔が長期化する傾向がみられたが、閾値を過ぎると急激な減少がみられた。一方、授精後33日では分娩間隔はTHIに対して正の線形関係を示した。以上の結果、CI1に対して授精日3日前のTHIを共変量とするランダムリグレッション法を応用して遺伝的評価が可能であることが示された。なお、研究成果をまとめた論文を3件、投稿する予定である。内、1件はすでに投稿済み、1件を用意、後の1件を準備中である。
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