研究課題/領域番号 |
24580398
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
太田 能之 日本獣医生命科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00277667)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 初期栄養 |
研究概要 |
孵化直後のヒナは24-72時間絶食される。この期間最も重要とされるアミノ酸(AA)をこれら3つの経路から効果的に給与した時の影響を比較し,それぞれの持つ特徴を明らかにした。 全てチャンキー系ブロイラー種卵を用いた。試験1ではAA投与の頚部皮下と経口による投与部位の違いが筋肉蛋白質分解に及ぼす影響について検討した。初生ヒナに生理食塩水もしくはAA溶液を一括もしくは4回分割で頚部皮下もしくはそのう内に投与し,1および4時間後に採血を行い,血漿3M-His濃度を測定した。さらに試験2ではAA投与部位の違いがAAの糖新生に及ぼす影響を調べるため,対照区(絶食区)と,AAを孵卵18日目にin ovo投与,孵化時に皮下もしくは経口投与した区の投与後2,3,4,24時間後の肝ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)およびグルコース6ホスファターゼ(G6Pase)活性を測定した。試験3および4では全身の免疫能もしくは消化管各部位の免疫能に及ぼす影響を調べるため,孵卵17日目に羊赤血球で免疫した後,試験2同様の処理を行い,孵化後3日齢時に血液凝集反応を調べ、腸管を十二指腸、空回腸、結腸上部に分けて採取し、免疫関連遺伝子発現を調べた。 試験1で皮下へのAA投与の要因にのみ3M-His濃度の減少効果が求められ(P< 0.05),経口投与では3M-His濃度に影響を及さず、AA投与部位の違いは筋肉蛋白質分解に影響することが示された。試験2ではAA酸投与区全てで投与2時間後にPEPCKおよびG6Pase活性が減少した(P<0.05)。また皮下および経口投与において,赤血球凝集出現頻度の割合が高い傾向を示し(P< 0.1)、経口、頚部皮下およびin ovo投与それぞれ消化管上部、下部、中部および下部で免疫関連遺伝子発現が他の区より有意に高くなった(P< 0.05)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画において、平成24-25年度ではニワトリの初期栄養改善法3種、すなわち孵化後早期給与、頚部皮下投与および胚時期におけるin ovo投与法によるアミノ酸投与がヒナの1)蛋白質代謝関連酵素と代謝産物、および2)免疫能に及ぼす影響について調べる予定であった。これに対し、今回の報告では3つの投与法によるアミノ酸投与の影響を、 1)蛋白質代謝関連酵素と代謝産物として筋肉蛋白質分解の指標である血漿3メチルヒスチジン、糖新生の指標である肝ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性の測定を行い明らかにした。また2)については凝集抗体価に及ぼす影響について明らかにし、さらに消化管内各部位の免疫関連遺伝子発現に及ぼす影響も明らかにした。 平成25年度では予定のうち残された1)これにより、残りは糖代謝系の指標であるヘキソキナーゼとピルビン酸キナーゼ活性に及ぼす影響に対する検討および2)免疫細胞数とサブセットに対する影響を調べるのみである。 以上のことよりほぼ予定通りに進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
実験の進行および結果が予定以上の成果を上げたことから、平成25年度は24-25年度の残り課題、すなわち1)これにより、残りは糖代謝系の指標であるヘキソキナーゼとピルビン酸キナーゼ活性に及ぼす影響に対する検討および2)免疫細胞数とサブセットに対する影響の検討について取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度分直接経費787000円は、当初の予定通り実験用消耗品費、すなわち種卵代、飼料代、酵素活性測定用試薬代、ならびにフローサイトメトリー解析用試薬および抗体費用として支出する予定である。 そして、試験実行に際しての補助者を雇用し、謝金50000円を支出予定である。 また、試験の成果発表として国内の学会に参加予定である。
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