研究課題/領域番号 |
24580398
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
太田 能之 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 教授 (00277667)
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キーワード | chicken / embryo / amino acids / nutrient inprinting / IGF-1 receptor / subsequent growth |
研究概要 |
ニワトリ胚へのアミノ酸投与による栄養インプリンティング誘引の可能性について検討した。孵卵7日目に蒸留水、全卵組成の全アミノ酸もしくは分岐鎖アミノ酸溶液をそれぞれin ovo投与し、孵卵14日目の胚および胸筋重量を測定し、インスリン様成長因子(IGF-1)レセプターmRNA発現を測定した。また、残りを4週齢時まで飼育し、浅胸筋IGF-1レセプターmRNAを測定した。その結果、In ovoアミノ酸投与により胚期の胸筋重量は重くなった。しかしながら4週齢時ではオスのみで浅胸筋のIGF-1受容体mRNA発現量が増加した一方で体重増加は認められなかった。メスではむしろ体重が減少する傾向が認められた。 投与時期の影響を検討するため、前試験同様の処理を孵卵7、14日目にin ovo投与し、さらに孵化直後に頚部皮下に投与する区それぞれを設定した。その結果、アミノ酸投与によりIGF-1受容体mRNA発現量は増加し、投与時期が遅れるにしたがい高かったが、体重には反映されなかった。 追加で行った試験では分岐鎖アミノ酸の1種で蛋白質合成促進、分解抑制作用が知られているロイシンと等モルのグルコースについて2×2要因解析試験を行った。全卵組成で用いたのと同量のロイシンと、等モルのグルコースをそれぞれ含むか含まない4週の溶液を孵卵7日目に投与し、7週齢まで飼育して体重と筋IGF-1レセプターおよび肝IGF-1 mRNA発現量を測定した。その結果、In ovoロイシン投与では蒸留水を投与した対照区に比べ先の試験同様の傾向が認められたが、ロイシンとグルコースの同時投与により体重が100g程度増加した。 以上からアミノ酸の蛋白質分解抑制作用による糖新生もしくは血糖維持機構との拮抗作用によると思われる成長促進の抑制はグルコースの同時投与で防げることと、孵化後の成長促進に有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験結果が予想と異なり、測定項目を圧縮して追加の試験を実行中である。成果については想定していたものを挙げられている。
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今後の研究の推進方策 |
アミノ酸投与による成長関連遺伝子発現増加と成長促進が起きないことの関係を証明し、成長促進ができるようにする。 具体的には投与アミノ酸の生理作用から糖新生抑制が関係していると考えられることから、糖との同時投与を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
試験の追加が必要になり平成25年度実施試験期間を超えて試験が行われることになったため。 種卵の追加購入とmRNA発現分析用試薬の発注。
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